本実証では、将来にわたる都民の主体的な健康づくりを支えるため、予防から予後改善までを広く対象とする「生活習慣改善を促すウェルネスサービス」の社会実装によるQOL向上を目指しているとしている。それにあたり、3つのプロジェクトを通じて、データ取得から分析・活用による事業創出と、データ活用事業をサポートする仕組み全体がビジネスエコシステムとして成立可能か検証をおこなうという。具体的なプロジェクト内容は以下。
プロジェクト1:エリア分析と予防プログラム開発に関する研究
- 産官学データ連携によるエリア分析
- 購買、保険、医療・介護、人口動態などに関わるデータを活用し、大田区内の住民の生活様式と疾病状況の関連を分析することで、エリアごとの地域課題を可視化
- 糖尿病患者の生活と血糖値コントロールに関する研究
- 各家庭の家電製品の使用状況や血糖値などのデータをモニタリングして、生活リズムと血糖値変動の関連性を探索
- 整形外科で手術を受ける患者の歩容(歩き方)研究
- NECの歩行分析センサーにより、整形外科疾患を抱える患者の歩行速度や歩幅などの歩容をモニタリング・可視化するほか、手術前後の歩容の変化や手術後の歩容改善に関連する因子、院内歩行と自宅歩行の違いなどを研究
プロジェクト2:データを活用したウェルネスサービス事業検証
- ケアマネージャー向け介護支援サービス検証
- 要支援・要介護者宅において、電力データや人感・温湿度センサーデータなどの情報を可視化し、家族や介護事業者のモニタリング業務に役立つサービスの有効性を検証
- NEC×FiNC 行動変容サービス検証
- プロジェクト3で提供されるライフログデータやその分析結果を活用し、健康リスクのある人へ生活習慣改善に向けたアドバイスをメール配信する施策を検証するほか、対象者宅の電力データを加えた分析も予定。本検証では、健診結果から将来の健康状態の予測をする「NEC健診結果予測シミュレーション」、日常のライフログを記録する「FiNCアプリ」を活用したソリューションを使用
プロジェクト3:サービス事業者を支援する付加価値事業検証
- 各種データの連携・分析を行い、分析結果がサービス事業者にとって有益かを検証。また、サービス間のID連携や同意取得について、どのような形がユーザーに受け入れられるかコンセプト検証を実施
- 提供元の異なる複数データ(歩数、体重、睡眠、食事、運動記録など)を共通のプラットフォームでつなぎ、行動推薦技術を用いて、過去の行動履歴から個人の特性に合わせた最適な行動を推薦
- プライバシー保護と行動推薦の精度向上の両立に向け、組織内データを漏洩せずに複数組織を連携した学習を可能とする、高秘匿連合学習も活用予定