電通は、2021年12月に、全国各企業20~59歳の部長以下の従業員男女計1,000名を対象に「企業の変革に関する従業員意識調査」を実施。2022年4月19日に調査結果を発表した。
調査結果からは、従業員の多くが自社の変革の必要性は感じているものの、変革に対する不安は大きく、経営層は自社の変革に対する従業員の期待を十分に生み出せていないという実態が浮き彫りになった。企業の変革を促進するためには、従業員が納得するビジョンを策定し、変革に対するエンゲージメント(企業の変化に関する自分ごと化、参画)を高めていくことが必要であることも明らかとなっている。
今回の調査では、「変革」に関して課題を抱えているケースが多く、また従業員数が多いが故に多様な考え方が存在すると思われる"大企業"の従業員(n=600)について、自社の変革に対する姿勢及び自社の変化への考えや行動、基本的な就業意識などの観点からクラスター分析を行い、以下の6つのファインディングスについての比較分析を実施した。
6つのファインディングス
- 変革に対して自社からの情報発信がなされていると回答した従業員は9割近くにのぼり、多くの企業で変革を推し進めようとしている実態が明らかになった。
- 75.3%の従業員が自社の変革の必要性を感じており、43.9%が自社の変革に期待が持てると回答した。
- 自社の変革に対して、「自身が何らかの行動を起こしている」と回答した従業員は32.3%にとどまる一方で、「行動していない/うまくいかない/ついていけない」と回答した層は38.3%。
- 自社の変革に対して、自らが「行動していない/うまくいかない/ついていけない」と回答した方にその理由を聞いたところ、「ビジョンの提示不足・不透明さ」(27.9%)「社内における浸透不足」(26.2%)が課題とされた。
- 自社の変化に対する不安を聞いたところ、「特に不安はない」と回答した従業員は12.2%にとどまり、約9割の従業員が何らかの不安を感じていることが分かった。
- 変化に対して企業からどのようなサポートをされると良いか、という質問に対しては、「どのような会社になりたいか、どんな事業をなりわいにするかのビジョンの発信」(39.2%)が最も多い結果となった。このことからも、従業員の変革へのエンゲージメントにはビジョンの浸透が重要であると考えられる。
クラスター分析
- CL1:自ら動き企業の変革の担い手ともいえる『変革推進層』(23.7%)
- CL2:それをフォローして変革に取り残されないようとする『変革フォロワー層』(30.3%)
- CL3:変化の必要性は理解しているが、現業が受け身の仕事で変革に貢献できず悩んでいる『現業と変化の狭間でもがく層』(7.7%)
- CL4:自社の変革に対して消極的な目線で見ている『変革他人事層』(20.7%)
- CL5:変革をフォローするよりも目の前の業務に関心が高い『結局のところ現業肯定層』(11.3%)
- CL6:就業そのものに積極的ではない『就業消極層』(6.3%)