クリステンセン流、破壊的イノベーションを乗り越えるベンチャーとの共創のカタチとは?

INDEE Japan主催セミナー「クリステンセン流VCとオープン・イノベーション」レポート

 クレイトン・クリステンセン教授設立のInnosight社の日本におけるパートナーであり、イノベーションコンサルティングを展開しているINDEE Japanは、9月7日にInnosight Venturesのシンガポールオフィスから3人のGeneral Partnerを招きミニイベントを開催した。Innosight Venturesは、現在東南アジアの破壊的イノベーションを起こす可能性のあるベンチャー企業への投資を進めており、日本のCVC(企業内ベンチャーキャピタル)ともコラボレーションできるプログラムを紹介した。

[公開日]

[講演者] Pete Bonee Piyush Chaplot 津田 真吾 [取材・構成] BizZine編集部

[タグ] ベンチャー 破壊的イノベーション クリステンセン 事業開発 Peer to Peer Lending Fin Tech

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破壊的イノベーションを既存企業とベンチャーの双方から捉える

 Innosight Ventures は、C・クリステンセン教授の「破壊的イノベーション」の理論に基づきベンチャー投資を行っている点が大きな特徴である。Pete Bonee氏はまずこの投資コンセプトの基となる、破壊的イノベーションについて改めて紹介した。

破壊的イノベーション

 これは、優れた企業の優秀な経営者が、利益の最大化、投資の最適化、顧客の声を聞くなど正しい戦略をとっているにも関わらず、事業の破壊に直面するという過去何度も繰り返されてきた事実から導かれた理論である。この理論を簡単に説明すると、持続的イノベーションを繰り返しながらハイエンドの製品を上市している既存企業は、市場全体の認知よりも早い速度で商品開発を進めてしまう。
 その一方で新たな市場ニーズに応えようと、割安だったり、使い勝手が良かったり、多少劣った機能で顧客に満足を与える商品を提供するベンチャー企業、それを必要としていたローエンドの顧客によって破壊的イノベーションが起こされる。これはどんな企業にとっても直面する可能性がある普遍的な事実である。

 1960年代には、S&P500上場企業の寿命は平均60年以上だったものに対して、近年はグローバル化やインターネットの普及によって世の中の変化の速度が速くなったこともあり、20年を切り17・18年となっている。破壊的イノベーションを既存企業から見ると悪い話のように思えるが、ベンチャー企業から見ると様々な非常に優れた事業、つまり製品・サービスを生み出す機会となっている。

 例えば金融業界における「Peer to Peer Lending」もその一つである。今、世界ナンバーワンの消費者金融サイトとして、「Lending Club」がアメリカでは急成長している。お金を借りるというと銀行から融資を受けるのが一般的だが、このサービスはお金を必要としている個人と資産運用をしたい個人がウエブ上でマッチングする仕組みを提供している。このサービスが急成長し注目を集めているのは、金利レートに関して、「貸し手と借り手でバランスの取れたレートが決められるというメリット」が金融市場の余白となっていた背景がある。そのニーズをうまく捉えることができたことが大きな成功要因だ。やがてこの企業も大きくなれば、現在の銀行と同様なサービスを顧客の要望により提供する必要が出てくるであろう。そうなると、もしかしたら現在の銀行業を破壊するかもしれない。

Lending Club : https://www.lendingclub.com/

Pete BoneePete Bonee氏(Innosight Ventures リードパートナー)
シリコンバレーで起業家、ベンチャー企業の経営者などを経験したのちに、Innosight Venturesの立ち上げからベンチャーキャピタリストとして活躍。創業したSylantro社(VOIP技術関連)は8年CEOを務めたのちにBroadsoft社に売却した実績を持つ。Sylantroの前にもLatitude社やVMXの立ち上げに参画するなど一貫してスタートアップを経験するとともに、ロームでも数々のポジションを歴任し、日本とのつながりも深い。

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