日本取締役協会は、企業表彰コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤーの2023年度受賞企業/受賞者を決定した。同表彰は、コーポレートガバナンスを用いて、中長期的に健全な成長を遂げている企業を応援するため、2015年より開設されたという。受賞企業は以下のとおり。
Grand Prize Company
- 荏原製作所
Winner Company
- 味の素
- セイコーエプソン
特別賞・経済産業大臣賞
- マニー
特別賞・東京都知事賞
- 積水ハウス
また、Grand Prize CompanyとWinner Companyの選定理由は以下のとおり。
Grand Prize Companyに選出された荏原製作所について、審査委員 伊藤邦雄氏(一橋大学名誉教授)は、「監督の機能不全を機に、すぐに『守り』のガバナンス改革に着手。早くから独立社外取締役を入れ、指名委員会等設置会社に移行。その後に『攻め』のガバナンスに重点を移動。ROIC経営を導入し、知財ROIC、生産ROICにも発展させている。そのプロセスはまさに『Governance (to) Value』そのもの。経営もガバナンスも経営者のハンズオンによる実行力が成果を生んだ象徴的事例」と述べている。
Winner Companyに選出された味の素について審査委員長 斉藤惇氏(KKR Japan 会長、元日本取引所グループ社長)は、「組織が縦割りにたこつぼ化している現象を破壊するため、意識的に取締役会はもとより経営会議においても外部識者を招聘している。食品業界では珍しい指名委員会等設置会社として法定3委員会(指名、報酬、監査)を導入し、取締役会議長や各委員長はすべて十分多様化された独立社外取締役で運営されている。WACCやROICを会社の特性に合わせて意識し、食品事業からアミノサイエンス系事業への展開が期待される」と述べた。
同じくWinner Companyのセイコーエプソンについて斉藤委員長は、「10名の取締役中過半の6名を独立社外取締役が占め、任意の指名と報酬委員会の長は社外取締役が担っている。同社の特徴はサクセッションプランの実行やガバナンスの実効性を上げることに工夫を凝らしていること。執行役員や執行役員候補者による経営会議で討議された中長期戦略などは社外取締役が閲覧可能で、組織的にサクセッション対象者が社外取締役の目に触れる運営がなされている」と評価しているという。