ジオテクノロジーズは、同社が保有する人流データとAI技術を組み合わせることで、住宅街にあるような身近な交差点の事故リスクを算出する「交差点リスク推定モデル」の開発に成功したことを発表した。
同モデルは、人流データから全ユーザーの通行軌跡を生成することにより、交差点における通行パターン(直進・右折・左折)を識別し、交差通行量と合流通行量をリスク推定因子として取り入れている。例えば、青図のように互いに向かい合った直進は接触しにくく、赤図のように交差する直進同士や合流する通行同士は互いに接触する恐れがある。このように交差通行量、合流通行量の推定因子を取り入れることで、単純な通行量からの推定と比較し効果的な推定を行うことができるという。
加えて、同モデルは歩行者の情報も含まれているため、歩行者に特化した通行軌跡を作成することが可能だ。歩行者の特徴を活用することで、車両と歩行者の事故リスクを推定できるとしている。
また、通行パターンを加味した車両の通行量や歩行者の通行量、交差点の構造などの各交差点の特徴を元に、警察庁で公開している交通事故情報を正解データとして、交差点における交通事故リスクを推定するモデルを作成。特定エリアにおけるリスク推定結果と事故情報を比較し、精度検証を行った。同調査で構築した各モデルでは、次のデータを使用している。
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交通事故情報
- 期間:2019年1月〜2022年12月
- 対象:車両同士の事故、車両と歩行者の事故
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人流データ
- 期間:2022年6月1日〜30日
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調査対象
- 対象:生活道路で構成される信号のない交差点
- 対象エリア:4エリア 都市部(事故多い・少ない)、地方都市部(事故多い・少ない)
リスク推定の結果のうち、ある一定のリスク値を超えた地点を危険な交差点と設定し、交通事故統計情報による実際に事故が起きた交差点と比べることで精度検証を行った。その結果、危険と判定された交差点数は115件と、全体の1万3787件に比べて非常に少ない件数にも関わらず、実際に事故が発生していた件数は70件と、高い割合で一致することが確認できたという。一方、外した45件の交差点に対しても事故は起きていないものの、事故が起きている交差点と同様の特徴をもった、潜在的に危険な交差点であるということを示していると同社は述べている。
同モデルにおける各事故種類のリスク推定において、特徴の寄与度を大きい順に抽出したところ、車両同士の事故、車両と歩行者の事故のいずれにおいても、交差通行量と合流通行量が高い割合で寄与していた。また、車両と歩行者のリスク推定においては、歩行者に関する特徴も高い割合で寄与していたという。
なお、今回は時間帯を考慮しない普遍的なリスクを推定するモデルを構築したが、今後は時間帯ごとのリスクを推定するモデルの開発を進めるという。また、対象交差点の範囲を拡張し、信号機がある交差点も含めてリスク推計できるよう構築したうえで、エリアを全国に拡張して評価するなど、製品化に向けた取り組みを進めていくとした。