住友林業は7月1日、SFAMを通じ北米の製材会社Teal Jones GroupよりTJLH社の持分100 %を取得。その子会社であるTJPD社の持分57.05%を取得し連結子会社化する。これを核に米国木材コンビナート事業を展開する。

事業では、TJPD社がルイジアナ州に保有する広大な土地と工場を活用し、住宅に使用するディメンション材(構造部材)などを製造する。同工場では年間約1,000千m3の原木を投入し、年間約500千m3のディメンション材などの生産を計画。外部需要先への販売やFITP工場・分譲住宅事業、不動産開発事業など自社グループへの供給を予定しているという。さらに、敷地内の約40haの遊休地を生かし、今後需要の拡大が見込まれるマスティンバーの製造や木材製材品生産・販売を見据えるとのことだ。製造過程で出たチップや製材残渣はバイオマス発電燃料やバイオリファイナリーなどへの利用も検討。木材のカスケード利用により木材の価値を最大化し、米国での木材コンビナート事業の展開を目指すとしている。

既存米国事業の強化

同工場の販売エリアやその周辺には住宅のパネル・トラスなどの設計、製造、施工を行うFITP事業拠点が複数位置しており、2027年には全米で現在の10工場から15工場以上に工場を増やす計画だという。不動産開発事業はJPI社がテキサス州ダラスに本社を置き事業を展開。FITPを通じて分譲住宅事業と不動産開発事業へ木材製材品を供給するとのことだ。原材料調達から木材製材品の生産・販売、住宅供給まで一気通貫したサプライチェーンの構築により同社グループのバリューチェーン「ウッドサイクル」を米国でも実現。
安定した原材料調達網
同事業エリアの木材需要量は戸建て・集合住宅、DIY、産業資材などさまざまな用途を含め大きく、同社が住宅事業を展開するテキサス州の木材需要量は最大規模を誇るという。さらに米国は人口増加や住宅供給不足が継続しており、今後も安定した住宅用木材製材品の需要が見込めるという。
外的要因に影響されにくい事業基盤の構築
同工場の原材料には米国産のSYPを使用するため、建築資材の高騰をもたらしたウッドショックや米国の関税政策などの外的要因に影響されにくい安定した原材料確保が可能。米国内で生産する木材製材品のコスト競争力が高まることで同事業に追い風となる市場環境が創出されることが期待される。
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