新社会人の読者を想定した丁寧な解説
みなさんこんにちは。Biz/Zine編集部の渡辺です。本日は、発売から約5ヵ月が経った現在も書店で目立つところに展開されている書籍『外資系コンサルのデータ分析技法―生成AIを使いこなすデータスキル』をご紹介します。

2,640円(税込)アクセンチュア データ&AIグループ (著)東洋経済新報社
本書は東洋経済新報社が出版する「外資系コンサル」シリーズの最新作にあたります。ビジネス文書の作成術やプレゼンテーション術と並んで「データ分析技法」もビジネスパーソンの必須スキルになりつつある──そんな機運を感じる過去作のラインアップです。
本書の特徴は、想定読者を社会人一年目の人材としている点にあります。そのため、序盤では「ビジネスシーンにおける分析プロセスの全体像」「データの収集・加工・探索」など、実務をイメージしにくい人向けにto doの丁寧な解説が重ねられています。
第6章からは、統計解析の代表的な手法であるクラスタ分析や回帰分析などの仕組みと利用方法を整理。「生成AIをデータ分析に活用すると、どのようなことができるようになるのか?」という疑問へのアンサーが第9章以降で示され、最後はデータドリブン型ビジネスパーソンを目指す人の心得を説く流れです。
「質より数」のデータドリブン型ビジネス人材
「ビジネスにデータは不可欠」「データドリブンな人材たれ」とはよく耳にするものの、どの程度のレベルが企業の担当者に求められているのでしょうか? 本書の序文では、データ活用のレベルを大きく三つに分けています。
1.データドリブン型ビジネス人材
AI・データ活用に関わる最低限のリテラシー・知識を基にして、データドリブンな視点を持ちながら日々の業務を推進。一部の自身の業務については生成AIなども利用し、業務改善にもチャレンジする。
2.データ活用人材
生成AIやBIを活用し、自身でデータを可視化・解釈しながら戦略・企画などをデータドリブンに推進。AI・データサイエンス人材に依頼すべき高度な分析においては、要件設計までを担当する。
3.AI・データサイエンス人材
大規模データを用いて高度な技術を要する機械学習やAI活用を担当。専門家として起業のAI・データ活用を推進する。
1には高い専門性のかわりに母数が求められます。つまり、データドリブン型ビジネス人材は多ければ多いほど良いというわけです。現場で集計表やグラフを論拠にしたディスカッションができたり、分析結果を読み取って業務に活用できたりする人材。本書はそんな人材(もしくはそんな人材を目指す人)に向けた指南書と言えます。
データドリブン型ビジネス人材が増えれば、企業内の共通言語が「データ」に変わります。一部の専門職だけがデータを主要言語にしている組織や、一部のアーリーアダプターだけが生成AIを活用している組織では、メンバーの足並みが揃わずコミュニケーションの破綻が生じ、意思決定の遅延も引き起こしかねません。
自身とメンバーのAI・データ活用リテラシーを高めると同時に揃え、ビジネスインフラとしてそれらが活用される未来を実現するためにも、本書を手に取ってみてはいかがでしょうか。