2026年3月12日、NECは、自社開発による「人間系世界モデル」を活用し、人の動きと心理状態をリアルタイムで予測しながらロボットを制御するフィジカルAI技術を発表した。本技術は、人がロボットと接する際に感じる不安を軽減し、人とロボットのより円滑な協働実現を狙いとしている。
今回発表された技術の主な特徴は、二つの予測モデルによる「人間系世界モデル」を組み合わせた点にある。ひとつは、ロボットの挙動や物理的な周囲環境によって変化する人の動きを予測するモデルであり、もうひとつはロボットの接近によって生じる人の不安の程度をリアルタイムかつ定量的に推定するモデルである。
動きの予測モデルは、人の3D骨格情報をカメラ映像や制御データから取得し、周囲環境やロボットの動作を考慮して、数秒先の人の3次元位置や姿勢を高精度に予測できる。これにより、ロボットが人の進行方向を先読みし、身体的な安全確保が強化される。
一方、不安推定モデルは、ロボットが人へ近づいた際に感じる不安感をアンケートなどで収集し、そのデータとロボットの走行パターンをAI学習させることで、実際の相対位置・姿勢・速度から不安の程度を定量推定できるようになっている。この結果、ロボットは最適経路や適切な走行速度を選択しながら、人の不安が高まらないように自律走行することが可能となる。
これまで、ロボットと人が協働する現場では、衝突リスクなどの身体的安全性に加え、ロボットの行動によって人が感じる不安や緊張、現場における心理的な安全性確保が大きな課題とされてきた。本技術の導入により、ロボット専用区画や決まった走行コースの設計が不要となり、通路が狭い中小規模の物流倉庫や工場、小売店舗などで、柔軟かつ効率的なロボット運用が実現できる。
これにより、現場の心理的ハードルが低減され、ロボット導入のさらなる促進による人手不足の解消や、生産性向上への効果が期待されている。
NECは、今回のフィジカルAI技術について、2027年度中の実用化を目指している。今後も、フィジカルAIの社会実装を推進し、人とロボットが安心して協働可能な現場環境の構築に貢献していく方針である。
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