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味の素グループの「経理AIエージェント」の衝撃──年間1万時間を創出し、戦略経理へシフトする

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 2026年4月22日、経理業務のAI自動化を推進するファーストアカウンティングと、日本を代表するグローバル企業である味の素グループによる「AI事例勉強会」が開催された。テーマは『経理人材の供給崩壊、15年で約4割減の衝撃』と、それに対する切り札としての「経理AIエージェント」の利活用である。労働力人口の減少が叫ばれるなか、特に専門職である経理部門では、単なる「作業のデジタル化」を超えた、AIによる「判断の代替」が不可欠なフェーズに突入している。本レポートでは、同勉強会で語られた経理人材の構造的危機の実態と、年間1万時間の削減を見込む味の素グループの先進的な挑戦を解説する。

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なぜ経理人材の「供給崩壊」は起きたのか

「どこに行っても経理パーソンが採用できない。この課題は、もはや一企業の努力で解決できるレベルを超えた社会課題である」

 ファーストアカウンティング代表取締役社長の森啓太郎氏は、冒頭から強い危機感をあらわにした。

 森氏が提示したのは、日商簿記検定の受験者データに基づく「供給崩壊」の実態である。2010年度から2024年度にかけて、管理職候補となる「簿記1級」の実受験者は3万2,394人から1万9,877人へと約39%減少した。実務の要となる「簿記2級」においても、20万3,275人から14万5,446人へと約28%の落ち込みを見せている。

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 この背景には、商業高校ルートの長期的な細りがある。全商簿記(商業高校生の検定)の受験者数は、1965年のピーク時86.2万人から2024年には16.9万人へと、約6分の1にまで激減した。さらに2024年を最後に大学入学共通テストから「簿記・会計」が廃止されたことで、高校で高度な簿記を学ぶインセンティブが制度面でも弱体化している。

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 「入り口である3級の合格者は横ばいだが、そこから実務級の2級へ進級する比率は56.8%から41.7%へと15ポイント以上も低下している」と森氏は分析する。実務で使える人材まで育つ構造そのものが、実数ベースで大幅に縮小している。

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「経理シンギュラリティ」の到来──AIが公認会計士試験を突破

 この危機に対する同社の答えが、AIによって経理の制約を取り払い、経理を「利益の源泉」へと変革する「経理シンギュラリティ」構想である。

 森氏は、自社開発のAIモデル「Deep Dean(ディープ・ディーン)」が、すでに公認会計士試験の一次試験(短答式試験)を満点で突破したことを公表した。従来のAIは文字を認識するOCRの域を出なかったが、最新の生成AIは、監査論や企業法、財務会計論といった高度な判断を要する領域において、既に合格基準の70%を大きく超える100%の正答率を記録し、既存の汎用LLMを凌駕する知能を獲得している。

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 「我々のAIは簿記2級を満点で、1級でも99.8%の正答率で合格できるレベルにある」と森氏は語る。同社が掲げるのは、従来のBPOや派遣社員による手作業を、「精度は同等以上、速度は10倍、コストは半分」で代替する世界である。

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この記事の著者

栗原 茂(Biz/Zine編集部)(クリハラ シゲル)

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