SMBCグループが描く、AIによる「金融OS」への進化──なぜCFOエージェントを提供するのか?
ゲスト:株式会社三井住友銀行 Managing Director AIトランスフォーメーション推進部長 ラジェーンドラ・マヨラン氏
生成AIの台頭により、金融ビジネスは歴史的な転換点を迎えている。預金や融資といった伝統的な「銀行」の枠組みを超え、AIを駆使して顧客の経営課題に深くコミットする新たな姿とはどのようなものか。SMBCグループは2026年4月、グループ横断でAI戦略を推進する「AIトランスフォーメーション推進部」を新設した。次期中期経営計画期間までを見据え、500億円という巨額の生成AI投資枠を設定。ボトムアップでの草の根的な活用から、経営直轄のクロスファンクショナルチーム(CFT)による大規模なビジネスモデル変革へとギアを上げている。同グループの戦略の核心はどこにあるのか。AIトランスフォーメーション推進部長を務めるラジェーンドラ・マヨラン氏に、d-strategy,inc代表の小宮昌人氏が迫った。
「AI予算500億円」を支える超速の意思決定機構
小宮昌人氏(以下、小宮):2026年4月に「AIトランスフォーメーション推進部」を新設されましたが、現在のミッションと、これまでの取り組みの背景を教えてください。
マヨラン・ラジェンドラ氏(以下、マヨラン):私たちのミッションは、銀行・カード・証券・リースといったグループ各社、さらにはグローバル拠点も含めたSMBCグループ全体のビジネスモデルをAIで変革することです。そのために必要な行内インフラやデータの整備、業務の自動化を大胆に進めています。
背景には、2年前に設定した「500億円の生成AI投資枠」があります。この投資において重要だったのは、金額だけでなく「意思決定のスピード」です。「CDIO(チーフ・デジタル・イノベーション・オフィサー)ミーティング」という、社長や各CxOが参加する会議体を毎月開催し、若手社員からのボトムアップの提案をその場で判断して予算をつける仕組みを作りました。これにより、「来年度予算で検討する」といった停滞を排除し、自発的な気運を一気に高めることができました。
小宮:各部門やグループ会社を巻き込むための「仲間作り」は、どのように進められたのでしょうか。
マヨラン:最初の1年半は、意図的にボトムアップの「草の根活動」に徹しました。AIは進化が速く、トップダウンで「こうやりなさい」と決めても現場の“やらされ感”につながってしまいます。そうではなく、自分の考えをすぐに試せる環境を作ることで、結果として約400件のプロジェクトが自然発生的に立ち上がりました。
日本の精神である「やってみなはれ」を、予算とリソースという実態をともなって体現したのです。全社的にAIが「なじんできた」ところで、2025年10月にギアチェンジしました。現在は国内外150名、18部門以上が参加する「クロスファンクショナルチーム(CFT)」を組織し、経営会議メンバーが責任者となって、部署間のトレードオフを超えた大胆な意思決定とリソース配分を行っています。
2020年にデジタル戦略部の立ち上げに参画し、法人向けDXソリューションの構築やCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)の組成を主導。2026年4月、新設されたAIトランスフォーメーション推進部の責任者に就任し、SMBCグループ全体のAI戦略とビジネスモデル変革を牽引している。
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