アクセンチュアが調査発表と提言「日本人のネガティブなスキル意識を変革せよ」

アクセンチュアは「雇用・働き方の未来」に関するグローバルな調査の結果を5月25日に発表した。テクノロジーを脅威と捉える意識が他の国より高く、スキルに対してもネガティブな結果となったことを受け、「日本企業はスキル革命が必要」と提言した。

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[著] BizZine編集部

[タグ] 働き方改革

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写真(左より:アクセンチュア株式会社 戦略コンサルティング本部 マネジング・ディレクター 高砂哲男氏/アクセンチュア株式会社 戦略コンサルティング本部 マネジャー 大崎邦彦氏)

調査は、2016年11月から12月まで、日本人を含む先進国10カ国の経営者から作業員まで840の職業の労働者10,527人に対しておこなわれた。
その結果によると日本人のテクノロジーやスキルへの成長意欲は、他国に比べてネガティブなものとなっている。まず、テクノロジーの変化に対して、“脅威”と答える比率が格段に高く、32%。スキル習得に時間を避ける状態に“なっていない”と答える率が、37%と各国の中で最も高い。

こうした結果から、アクセンチュアの高砂哲男氏は「日本の特徴は、スキルアップには前向きな一方、実行に移せる状況にない層が多く、加えて何を習得するのかが明確でない層が多い」とまとめた。

こうした労働者の意識に加え、さらに問題は日本企業をとりまく環境変化だという。AIやRPA(ロボティクス・プロセス・オーメーション)による労働力の代替が、今後急速に進む一方で、新しいビジネス領域では「生産性向上」が鍵になるというのが、アクセンチュアの見解だ。労働力の高齢化が進み職業人生は長期化するにもかかわらず、企業寿命は短くなりギャップは拡大する。こうした背景から、労働者はより生産性を向上させるための「スキル革命」(リスキル)が必要になるという。

とはいうものの、日本企業ではスキルを再構築していくための方法が準備出来ているとはいえない。アクセンチュアの大崎邦彦氏は、「多くの労働者は、自分のいる会社の固有の業務に注力しがち。そのため会社を横断できる汎用的なスキルの習得に注力できていない」と語り、「会社固有と会社横断」、「知識ベースと技能ベース」という軸によるマッピングを提示した。

こうした整理にもとづいて、アクセンチュア自身が、17,000件のポジションを業務自動化に伴って再定義し、社員のリスキルを実現したという。さらに世界レベルで「キャリアマーケットプレイス」というスキルと職種のマッチングによる応募できる社内の転職サイトにような仕組みを作った。そして今後は、社員のスキル改革だけでなく、採用における人材獲得のパイプラインを強化するとも。これはHRアナリティクスによって採用確度の高い候補者のレジュメに含まれる単語やフレーズを言語解析し、スキルのマッチ度や応募意欲の高い人材を絞り込むというものである。これによって「会社が人を選ぶのではなく、人が会社を選ぶ時代のための採用の仕組み」やエンプロイ・バリュー(EVP)を向上させるという。

「働き方改革」が官民あげてのテーマとなって久しい。先ごろ安倍首相は「働き方改革と生産性向上との一体化」を掲げた。アクセンチュアのこうした取り組みは、こうした国の方針にも準じているようだ。AIやロボティクスによる機械化・自動化を進めながら、並行して人材のリスキルを進め制度・仕組みを構築しながら、その成果を顧客に提供していく取り組みと言えるだろう。