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「新規事業提案制度」事務局運営のリアル

「起業家ファースト」「オープン」を貫く社内起業制度──docomo STARTUPが描く新規事業戦略

第4回 ゲスト:NTTドコモ 原尚史氏

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 多くの企業が設けるようになってきている新規事業提案制度。毎年多くのアイデアを集めていたり、事業化や会社化まで至っていたりと取り組みが進んでいる新規事業提案制度は、運営においてどんな試行錯誤や工夫がなされているのでしょうか。本連載では、イノベーション鈴木氏がホストとなり、先駆的な試みを実施している新規事業提案制度の事務局運営者との対談を通じて、新規事業提案制度の運営のヒントを探ります。今回のゲストは、NTTドコモの社内起業制度「docomo STARTUP」の運営責任者として活躍する原尚史氏。前編では「起業家ファースト」の理念に基づく革新的な制度設計と、その背景について詳しく伺います。

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docomo STARTUPの戦略的な“狙い”

イノベーション鈴木氏(以下、イノベーション):長年新規事業提案制度に携わってきた立場として、docomo STARTUPは多くの企業が参考にすべきお手本のような制度だと考えています。その根底には起業家精神や優れた起業家的資質を企業内に取り込みたいという想い、社員一人ひとりの成長と活躍を促進したいという理念があるのではないでしょうか。

 約10年前から「アントレプレナー・イン・レジデンス」的なアプローチを模索されてきたと捉えていますが、まずは原さんのご経歴とdocomo STARTUPの概要についてお聞かせいただけますか。

原尚史氏(以下、原):現在私は、トップダウンイノベーションとして全社的に取り組む新規事業開発、オープンイノベーションとしてのNTTドコモ・ベンチャーズとの連携、そしてボトムアップイノベーションとしてのdocomo STARTUPという3つの領域を担当しています。

 元々はR&Dで3Gの基地局開発のエンジニアとしてキャリアをスタートし、2005年頃から日米スタートアップとの連携と出資に携わりました。その後、米国へ留学してMBAを取得し、帰国後は経営企画や人事など幅広い分野を経験。自らドローン事業のハスラー(事業推進者)として実践的に活動する一方で、様々なプロジェクトのメンタリングも担当してきました。シリコンバレーでのCVC支店長、NTTドコモ・ベンチャーズの社長を経て現職に至っています。

 docomo STARTUPは包括的な社内起業制度です。ドコモのコア事業は各事業部が、周辺事業はCVCが担う中で、docomo STARTUPはシナジーの可能性はあるものの確実性がまだ不透明な事業領域に対して社員が挑戦できる仕組みとなっています。基本理念としては、「起業家ファースト」と「オープン」という2つがあります。

 当社の戦略的な狙いとしては、企業単独ではリーチが難しい領域の探索、スタートアップコミュニティとの共創関係の構築、そして経営リーダーの育成という3点があります。実績としては2023年度に参加者565名、その後、2024年度中に計5社のスピンアウトを実現しました。相当の規模感と成果が出始めたと自負します。

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イノベーション:社員が単一組織内での成長だけでなく、より広い視野で挑戦し、必要に応じて外部で経験を積んだ後に戻ってこられる循環型の仕組みは非常に先進的です。そのために「COLLEGE」「CHALLENGE」「GROWTH」という段階的なアプローチと、出資比率における工夫を組み合わせていらっしゃるわけですね。

 多くの大企業が新規事業開発で苦戦している中、この制度を実現できた背景には、きっと様々な取り組みや試行錯誤があったと想像します。これから、その具体的な制度設計とその特徴について詳しく伺いたいと思います。

NTTドコモ 原尚史氏も登壇!

6月13日に開催される「Biz/Zine Day 2025 June」では、本記事でお話を伺った原氏も登壇。NTTドコモ発スタートアップRePlayceの山本氏とともに、大企業からの起業家の輩出についてディスカッションします。セッションでは参加者からの質問にもお答えする予定です。オンライン(ライブ配信)とスタジオ観覧のハイブリッド開催です。ぜひご参加ください!

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2つの理念を表現する社内起業制度

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この記事の著者

皆本 類(ミナモト ルイ)

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