6月23日、東京神宮前のスマートニュースのイベント会場で行なわれた「No Maps 2017」の発表会で、mobikeの国際展開統括のクリス・マーティン氏が登壇し、No Mapsでのプロジェクトの一環として、Mobikeの実証実験/社会実証を行うことを発表した。
駐輪場フリーの自転車シェアリング
「Mobike」とは都市の中で自転車を乗りたい時に乗り、止めたい場所で止める「乗り捨てが出来る自転車シェアリング」のサービス。スマートフォンのアプリで自転車を探し、QRコードをスキャンして解錠し、乗車後は好きな場所で止める。使用する自転車はMobikeの専用で4年間メンテナンスの必要がないものだという。
「機能や部品のすべてをリ・インベントした。パンクしないし、壊れない自転車だ」(クリス氏)
ジオフェンス、AI、ビッグデータの先端テクノロジーを凝縮
Mobikeはシオフェンス、スマートロック、モバイルペイメント、AI+ビッグデータアナリティクスなどの最新の技術を集結し、駐輪場フリーのバイクシェアを実現しているという。
技術の特長は、1)アプリですべてのプロセスを完結すること、2)GPSを内蔵し場所と利用エリアを制限、3)スマートロックによりリモートでロックが可能、4)ビッグデータを分析して自転車の稼働率を最大化すること、などである。
2500万回/日、1億人利用者の飛躍的成長
現在、中国を中心に、イギリス、シンガポールなどに広がっている。イギリスではマンチェスター市の行政プロジェクトとして導入がスタートしているという。
中国の成都市では、電車の利用者数が250万人/日に対し、Mobikeは300万人と、市民の移動手段として定着している・
2016年の4月の上海市でのサービスローンチ以降、驚異的なスピードで成長を続けており、現在の利用回数は、のべ2500万回/日、登録者数は6月の時点で1億人に登るという。
収益モデルは「規模の経済性+テクノロジー」
Mobikeの利用料は、中国では一回に日本円で10円〜20円程度(日本でのローンチ時の料金は未定)。この低価格によるスケールメリットとテクノロジーが同社の競争力だとクリス氏は言う。
大量生産による超耐久性で製造コストを低減し、ROIを最適化し台数増加と利用率を増加させる「規模の経済性」、IoTとAIにより運用効率を最大化する「技術による効率化」がMobikeの強みだ。
この収益モデルに対して世界有数のベンチャーキャピタルから資金を調達している。直近では6月に、テンセント社から6億USドル(600億円)の追加調達を完了したことをクリス氏は発表した。
自転車が生み出す「移動のビッグデータ」を価値に変える
Mobikeが生み出す事業のもう一つの大きな価値が、自転車が生み出すビッグデータだとクリス氏は語り、今年2月の北京市の移動状況のグラフを紹介した。
「これは一番寒い時期の移動状況なので、現在はもっと大量なデータになる」と言う。
生み出される自転車の移動データは、5Tバイト/日におよび、これらのデータを収集・分析し可視化することで都市計画にも応用されるという。
日本では福岡、札幌から。行政との協議を重視。
日本での展開は年内を予定しており、すでに福岡市でのスタートが発表され、10月の「No Maps」の期間にあわせ、札幌で実証導入が行われる予定で、現在各団体との協議を行っているという。
「日本では行政との話し合いが大事だと考えている。行政と協議しなるべくきれいな形で事業をスタートさせたい」と、クリス氏は事業進出の本気度を語った。