「働き方改革」は、生産性向上・残業時間削減等、さまざまな文脈の中で語られ、日本企業の取り組むべき重要経営課題の1つとして取り上げられている。DTCでは働き方改革を、単なる長時間労働是正に留めず、「生産性の向上と従業員の働きがいの向上の両面の実現」と定義しており、今回のサーベイでは企業の取り組み状況・組織風土を調査・分析することで、課題・解決の方向性を明らかにすることを目的としているとしている。
■働き方改革の実態調査2017総括
・全体傾向
働き方改革を実施済/実施中の企業が、2015年調査と比較して34%から73%へと倍増しており、改革に対する関心が高まっている。
・改革の目的
生産性の向上を目的に掲げる企業は87%に及び、次いで76%が従業員の心身の健康の向上を、74%が従業員満足度の向上としており、生産性だけではなく従業員にとっての価値を生み出そうとする傾向が出ている。
・効果
49%の企業が働き方改革による効果を実感しているが、従業員の満足が得られている企業は28%にとどまっている。
・KPI設定
働き方改革のKPIを設定し定期的にモニタリングを実施している企業の85%が働き方改革による効果を得ており、KPI未設定企業の2.5倍以上となった。
・組織風土
長時間労働は仕方がないという雰囲気がある企業が59%を占めており、長時間労働を是とする風土は依然として解消されていない。
・モバイルワーク
在宅勤務やサテライトオフィスでの勤務を認める企業は初回調査時(2013年)から継続して増加傾向にあり、モバイルワークの浸透が進んでいる。
・RPA・AI・クラウドソーシング
6割以上の企業が働き方改革の施策としてRPA・AI・クラウドソーシングに関心を持っているが導入済企業は3~10%程度。
・ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)
女性従業員・管理職比率の数値目標を設定している企業はそれぞれ50%超だが、うち40~50%の企業で目標に対する進捗に遅れが生じている。
・パフォーマンス・ マネジメント
働き方改革の施策としてパフォーマンス・マネジメントの見直しを検討済/検討中の企業は半数で、具体的な検討内容で最も多いのはカウンセリング・コーチング、ついで短サイクル・高頻度な目標設定であった。
・健康経営
85%の企業が健康経営に関心があると回答しており、さらに全体の52%は施策を検討中もしくは実施済みとなっている。
・副業・兼業
現在副業・兼業を推進している企業は13%とわずかであるが、将来推進する必要が生じると回答した企業は39%に上る。
■働き方改革の実施状況
働き方改革を実施済/実施中と回答した企業は73%と、2013年の30%、2015年の34%と比較して倍増しており、働き方改革への関心が高まっていることが分かる。
調査レポート(PDF)はDTCのWebサイトからダウンロードできる。