253の信用金庫とのAPI連携を開始
“スモールビジネスを世界の主役に”をミッションとして掲げ、中小・中堅企業向けのクラウド会計サービスを提供するfreeeにとって、「2019年はチャンス」だと佐々木大輔CEOは言う。「副業」が企業のガイドラインで原則認められるようになり、会社員も確定申告を行うようになること、新元号や消費税の改定などにより、企業の会計システムの改変が必要になることなどが理由だ。
こうした追い風の中で、同社が推進するのがオープン化であり、現在中小企業が抱える課題をテクノロジーで解決していくことだという。
具体的には、企業の会計システムを金融機関のインターネットバンキングとの連携だ。今回freeeは、一般社団法人全国信用金庫協会と、API連携に関する契約を締結し、260の信用金庫のうち、253の信用金庫とのAPI連携を開始すると発表。参照系のAPIを活用した法人向けインターネットバンキングとのAPI連携となり、利用明細の取り込みは2月4日から順次開始する。
一昨年の改正銀行法施行以降、API連携は金融庁によっても推進されてきた。業界団体である全国信用金庫協会の取り次ぎ方式による信用金庫とフィンテック企業とのAPI連携は、今回が初の取り組みとなる。
API連携のメリットについては、1)シームレスな連携による会計や決算の業務の効率化、2)融資の判断の迅速化、3)銀行の入出金の直接取り込みによる正確性、などが挙げられる。
多くの中小企業にとって、信用金庫の口座は重要、スモールビジネス支援の大きな一歩となる。(執行役員 金融事業本部長 武地建太氏)
プラットフォーム「freeeアプリストア」開設
続いて、freeeのユーザーとfreeeのサービス連携先の事業者や開発者がつながるプラットフォームとして「freeeアプリストア」が発表された。
「freeeアプリストア」とは、販売管理や経費精算など、必要な業務カテゴリーごとにアプリケーションを検索することができ、数回のクリックで簡単に連携・利用開始できるというもの。
中には、一部freeeが展開するサービスと競合するサービスも含まれるが、「ユーザーにとって価値を提供できる専門的なサービスであれば、競合他社であっても組み合わせを推奨する」(佐々木CEO)というスタンスだ。
freeeとAPI連携しているアプリケーションを提供する事業者や開発者にとっては、100万事業所以上のfreee利用ユーザーに向けて公開し訴求することができる。
アプリストアの参加企業として、決済サービスのSquare、労務管理のSmartHR、勤怠管理のヒューマンテクノロジーズの代表者と担当者が登壇し、賛同の意を表明した。
また、2月20日からは、グーグルの「G SUite」との人事マスターデータとの連携も開始。これにより「人事労務freee」の入退出情報が「G Suite」にダイレクトに反映されることになる。
世界のAPI連携に比べて日本は遅い。世界では5分でつながらなければサービスとして選択されない時代なのに、日本では利用申請から始まり3週間以上かかる。このギャップを解消したい。(CTO 横路 隆氏)
ここ数年、FinTechのキーワードとして語られた「API連携」だが、日本ではまだ動きは遅かったが、freeeによって今後一挙に進展することが期待される。