「クラウド/SaaSは働き方改革に貢献できるか」チームスピリットに聞く

 企業の会計、総務、人事などのバックオフィス系の分野の業務を支援するSaaS/サブスクリプション系のサービスが勢いづいている。背景にあるのは、ここ数年の「働き方改革」の気運だ。業務効率の改善や生産性の向上、社員の満足度の向上などをテーマに導入が進んでいるが、こうしたクラウドサービスがどこまで貢献できるのか。「働き方改革プラットフォーム」を提供している株式会社チームスピリット 取締役 宮原一成氏に話を聞いた。

[公開日]

[取材・構成] 京部康男 (Biz/Zine編集部) [著] 深谷 歩

[タグ] 働き方改革 勤怠管理

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「働き方改革=労働時間の短縮」の落とし穴

株式会社チームスピリット 取締役 宮原一成氏

−−働き方改革は、政府が主導的に企業に対して”あおってきた”、という印象がありますが、実際問題として、企業はどの程度対応し、どのような課題があるのでしょうか。

株式会社チームスピリット取締役 宮原一成氏(以下、敬称略):政府の通達にしたがって働き方改革を推進した結果、働き方改革が目的になってしまっている企業は多いですね。働き方改革は手段の総称に過ぎないので、「働き方改革を通じて何を実現したいか」が明確でないと、名ばかりの改革になってしまいますし、上から言われたからやる、ではうまくいかないことがあります。

−−労働時間の短縮ばかりに目がいってしまうことも多いと思います。

宮原:法律の施行によって、労働時間を減らすことが最終目的になってしまっている場合がありますね。「ブラック企業と思われないために、労働時間を減らす」ことを目指して、かえって数字には現れない隠れ残業、持ち帰り残業が増えてしまうような、本末転倒の事例もあります。

 従業員は、労働時間を減らして、しかも売上を維持あるいは拡大するという相反することを求められますが、根本的な働き方を見直すことから始めないと、土台無理な話です。

 われわれの提供するTeamSpiritは「働き方改革支援」をテーマにしています。特に間接業務の時間の削減に有効で、創出された時間を戦略的な業務や創造的な仕事にシフトさせることで、結果として売り上げの増進への貢献にもつながるという考え方です。

オペレーション業務を減らして戦略的業務にシフト

−−「単純な業務は機械にまかせて、社員はより創造的な業務に携わる」という言い方があります。しかし、これまでオペレーション型の間接業務に従事していたスタッフ部門が、創造的な仕事を行うといった場合、どのような仕事がイメージできるのでしょうか?

宮原:例えば、人事部であれば、出勤日数、残業時間の集計に時間をとられるのではなく、そこはある程度自動化して工数を削減し、その分、就業規則の改定を考える、有給取得率を上げるための施策を考える、そんな風に業務にあてる時間をシフトさせている例があります。

 何を戦略的な業務とするかは、会社のKPI、KGIにもよると思いますが、間接部門の人事、総務、経理でいうならば、人事は先程の例のほか、採用戦略、人材育成などが当てはまりますし、総務であればより働きやすい労働環境の構築としてオフィスレイアウトの整備などがあります。経理ならばコスト削減、経営計画立案のサポートなどもあるでしょう。

−−IT化がこれまであまり進んでいなかった経費精算や会計などのバックオフィスの分野に、多くのスタートアップの参入も激化しています。サブスクリプションの会員企業の数は順調に推移しているようですが、まだ市場は飽和していないという状況でしょうか?

宮原:まず市場としては、まだまだこれからなので伸びしろは十分にあるでしょう。勤怠システム、経費精算システム、原価管理システムなど、個別の機能でいうならば競合のサービスはたくさんありますが、われわれのTeamSpiritは、経費精算、勤怠管理、工数管理などを統合して一体化したツールなので、そういう意味では競合はないと考えています。

−−統合型の場合、他のシステムを使っているので、一部の機能だけ利用したい、というニーズはありませんか。

宮原:企業規模が大きいと、経費精算だけ、勤怠だけ、ということはありますね。その場合は、競合が発生しますが、最終的にはあらゆる機能を段階的に入れてシステムを統一したいという声があります。企業規模が小さい方が、一斉に乗り換えということが多いですね。

バックナンバー