新規事業担当者の「成功のための3つの掟」──“社会実装”に繋がるオープン・イノベーションとは(後編)

第2回

 本連載では、新規事業開発の現場に事業開発パートナーとして関わり、Smart Kitchen Summit Japanやコミュニティ作りなどイノベーション創発を加速するための活動も手掛けるシグマクシスの視点から、オープン・イノベーションの現状と今後の展望について、事例も交えながら見ていきたいと思います。
 前編で見たように、「オープン・イノベーション」を困難にする課題は様々です。後編では、これらの課題を乗り越えるために、各ステークホルダーがどのように取り組みを進めていくべきかを考えてみたいと思います。

[公開日]

[著] シグマクシス / マルチサイドプラットフォーム チーム

[タグ] オープン・イノベーション 事業開発 企業戦略

  • ブックマーク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

新規事業担当者は「社内投資家」を“説得”するのではなく“共感”を

 もしあなたが企業内の新規事業担当者なら、いかに考え、行動すべきか?

 我々シグマクシスが事業開発の現場で体感した、新規事業担当者の「成功のための3つの掟」をまずご紹介しましょう。

(1)「説得」よりも「共感」させる

タイトル

 新規事業担当者が社内起業家と称されることも多いですが、目下、新規事業担当者が直面する最初の壁は、いわば“社内投資家”とも言える経営陣の賛同の獲得です。多くのステークホルダーに対して説明責任がある大企業にとっては、新規事業、特に既存事業領域とまるでかけ離れた分野の新規事業ほど、投資を行うハードルは高くなります。

 この壁を突破するため、経営陣へ意思決定の材料を提示することになります。前編でも述べましたが、社内説得を目的として精緻なデスクトップリサーチ、市場調査、論理構成でどれだけ美しいプレゼンテーションを作っても、社内の懸念は根本からは解消されません。むしろ、リアルな生活者に対してリアルにリスクのない範囲で試験的にサービスを提供し、そのプロセスの観察、生活者の反応を得るほうが懸念の払しょくと共感の獲得には効果的です。

 最初のうちは簡易なプロトタイプでごく少数のクローズドな世界でテストを行い、次第に数十人、数百人とユーザー規模を増やしてリスクを最小限に保ちながら検証を進めていく。小さいリスクで始めて徐々に育てることで、社内調整を円滑に行いながら、サービス開発に継続的に取り組むことが可能になります。

 例えば、ある企業では、本業と連動した新しいサービス事業の立ち上げを検討していましたが、いきなり企業対企業の協業の座組みをセットするのではなく、まずは生活者に対してコンセプトの調査やテストを繰り返しました。

 そのプロセスで、生活者のリアルなフィードバックを蓄積、サービスのコンセプトの精度を高め、企業内の合意の形成に成功。本格的な事業化へ向けて、具体的な協業の検討に入っています。

 また、あるB2B2Cのプレイヤーの事例では、エンドユーザーであるC(生活者)のリアルの声を先に集めることで、実際の顧客であるB(企業)への提案材料とするとともに、自社内の「本当に売れるのか」「マーケットレポートはあるのか」という横やりの声を抑えることもできました。

バックナンバー