“オープン・イノベーション”の現在地──“社会実装”に繋がるオープン・イノベーションとは(前編)

第1回

 「オープン・イノベーション」。昨今、ビジネスにおいて、この言葉を耳にしない日はありません。多くの企業で、専門部署の新設や専任のアサインメントなど様々な取り組みが行われており、私たちもコンサルティングの現場で担当者の方とお会いする機会がたくさんあります。しかし本当にそれらがビジネスとして結実しているかどうかというとなかなか悩ましい、と焦りをにじませる声も多く耳にします。
 今回の連載では、新規事業開発の現場に事業開発パートナーとして関わり、Smart Kitchen Summit Japanやコミュニティ作りなどイノベーション創発を加速するための活動も手掛けるシグマクシスの視点から、オープン・イノベーションの現状と今後の展望について、事例も交えながら見ていきたいと思います。

[公開日]

[著] シグマクシス / マルチサイドプラットフォーム チーム

[タグ] オープン・イノベーション 事業開発 ビジョン ミッション

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単独個社でのイノベーション創発の限界──オープン・イノベーションの背景

 オープン・イノベーション活発化の背景として、生活者のニーズが劇的に多様化していること、そしてテクノロジーの進化が重要なドライバーとして考えられています。高度なテクノロジーを組み合わせ、生活者の複雑なニーズに応えるには、自社単独のケイパビリティによるイノベーション創発には限界があるため、オープン・イノベーションの必要性が叫ばれ始めました。

 さらに、変化に対応するという観点では、製品・サービスの市場への投入スピードが重要な競争力の源泉となるため、危機感を強めた企業が知見や技術を内製ではなく外部に求め始めたことも一因です。

苦戦するオープン・イノベーション

 このような環境のなか、ミートアップイベントやアクセラレータープログラムなど、オープン・イノベーション推進の活動はここ数年で格段に増えていますが、なかなか成果に結びついていないのが現状です。多く見受けられるのは大企業とベンチャー企業のミスマッチです。

 例えば、大企業がベンチャー企業と協議を行うとき。大企業側がまずはベンチャー企業と対話しているという実績を作ることを目的に「担当者がただ会議を重ねている」というシーンが散見されます。

 また、大企業側がリスクを取り切れなくて頓挫というケースもあります。当初は革新的な案を大企業とベンチャー企業で事業化しようと取り組んだものの、大企業内で稟議プロセスを重ねる間に、いつのまにか丸く”平凡な”案に削られてしまった事例もありました。

 さらには、前述のようなタイプの大企業に多く出会った結果、スピード感を持ってビジネスに繋がりそうにない企業からの打ち合わせ依頼はすべて断る、という閉鎖的な姿勢をとるベンチャー企業も、残念ながら一部存在するようです。

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