インダストリー4.0時代における世界の“ファクトリーテック”トレンド
最初に、Coral Capital創業パートナーの澤山陽平氏が登壇し、ファクトリーテックの概要を紹介した。
製造業では、機械同士の接続や、IoTの普及によるデータの活用による新たな産業革命「インダストリー4.0」という言葉をよく耳にする。世界のインダストリー4.0市場は2018年時点で6兆円以上だが、今後さらに大きく成長していくことが予想されているという。インダストリー4.0という概念がでてきた当初は大企業が主役だったが、スタートアップ企業も参入してきていると澤山氏は話す。
澤山氏は6月27日にCBINSIGHTSが発表した図を紹介した。工場の中に入っていくテクノロジーも細分化すると多くの種類があり、そこにスタートアップが参入しはじめているというのだ。
澤山氏は、すでに多くの投資を集め、世界的な企業もサービスを導入している海外スタートアップ企業の例から、ファクトリーテックのトレンドを詳しく紹介した。
iPadやARグラスで操作可能なARソフトを提供しているドイツのRE’FLEKTは、日本円で約6億円の投資を受けており、提供するサービスもAudiやBMW、PORSCHEなどで導入されている。多くの部品を扱う工場の現場において、遠隔で正確な指示や教育が可能になる点で評価されているのだ。また、金属加工が可能な3Dプリンタを製造販売しているアメリカのDesktop Metalは、Ford、BMW、GEの投資部門であるGE Venturesに加え、AlphabetのCVCであるGVなどから約470億円もの投資を受けている。自動車関連企業からの期待が大きいのだという。
その他、CADをクラウド化し、見積もりから発注までをブラウザ上で行うことができる機能を提供するカナダのVENTION、あらゆるIoTデータを統合したダッシュボードと分析機能を提供するSight Machine、現場の作業効率化をサポートするTULIPを紹介した。
海外だけでなく、日本にも多くのスタートアップ企業がファクトリーテックに参入してきている。インダストリー4.0は大企業でなければできないところも多いが、部分に切り出すとスタートアップでしかできない領域もあるという。澤山氏は、スタートアップ企業が参入している領域を以下のように分類した。
- 設計ツール
- プロトタイピング・3Dプリンタ(Desktop Metal、VENTION)
- ロボティクス
- ウェアラブル
- 予知保全
- 分析・業務効率化(Sight Machine)
- IoT・ミドルウェア
- トラッキング・位置情報解析
- 検査
- 現場フロー(TULIP)
澤山氏のトレンド紹介に続き、「分析・業務効率化」「IoT・ミドルウェア」「現場ワークフロー」に当てはまる企業として、カミナシの諸岡氏とKOSKAの曽根氏が登壇した。