連載・コラム X-Techスタートアップの最先端

高齢化先進国 日本発のAgeTechスタートアップ──高齢化社会を支えるテクノロジー

 Coral Capitalは、4月16日に「AgeTech(高齢者向けTechnology)スタートアップ」と題したオンラインセミナーを開催した。
 日本は世界でも高齢化が最も進んでいる国の1つとして注目されている。これから多くの国で高齢化が進むと予想される中、日本発のAgeTechスタートアップ企業は、テクノロジーを活用することで高齢化社会をどのように支えようとしているのか。
 今回のセミナーでは、Coral Capitalパートナー兼編集長の西村賢氏が、海外スタートアップのトレンドを紹介。また、株式会社ファミトラ 代表取締役社長の三橋克仁氏と株式会社チカク 代表取締役の梶原健司氏が、日本での取り組みと今後の展望について語った。

[公開日]

[著] 梶川 元貴(Biz/Zine編集部)

[タグ] スタートアップ テクノロジー トレンド AgeTech

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“中国のGDP”と同等となった高齢者市場

 最初に、Coral Capitalパートナー兼編集長の西村賢氏が登壇し、AgeTech市場とグローバルでのトレンドを紹介した。

 AgeTech(高齢者向けTechnology)への投資は全世界をあわせてもまだ日本円で400億~500億円程度と、絶対額としてはまだ大きくない。しかし、医療や保険に加え、エンターテインメントやレクリエーションなども含めた高齢者市場は非常に大きく、すでに日本円で1,600兆円規模となっており、中国のGDPと同程度の規模となっている。

 また、世界的に高齢化が進むことが予想されており、2015年には16億人だった65歳以上の人口は、2050年には32億人に達するという推計もある。日本は特に高齢化が進んでおり、2020年に28.7%だった高齢化率が、2050年には40%に近づくという予測もある。

 一方で、高齢者の間でもITの利用が進んでおり、IT先進国である米国では、オンライン診療やコミュニケーションツールが出てきている。世界的に高齢化が進むと予測されるいま、ITの普及は明るい話題だと西村氏は話す。

 これらの背景を踏まえ西村氏は、ITの普及、高齢者のITリテラシーの向上によってヘルステックからニーズが広がり、学習サービスや高齢者向けモビリティ、詐欺防止のFintechが出てくるだろうと語る。また、健康な高齢者の増加により、ケアよりもレクリエーションを提供するプロダクトが増えると予想した。

 次に西村氏は、AgeTechの全体像を紹介する。

AgeTechカオスマップ

 AgeTechの中でもヘルス・ウェルネスサービスを提供する企業が多く存在するが、その他にも生活支援、自立生活支援、コミュニケーションツール、家庭内の見守りサービスも出てきている。この中から注目の企業を取り上げて紹介した。

  • Papa:生活支援や繋がりのために高齢者と大学生や看護学生をマッチングするプラットフォームを提供
  • True Link Financial:高齢者向けのプリペイドVISAカードを発行。子供世代がリアルタイムで通知を受けることができる
  • People Power Company:スマホやタブレット、専用デバイスによる見守りシステムを提供。冷蔵庫や薬箱の開閉で生活を見守ることができる
  • Voyage:退職者コミュニティに特化した自動運転車配車サービスを提供。GMに買収された自動運転スタートアップのCruiseが買収
  • Nymbl:転倒防止のトレーニングアプリを提供

 また、日本のAgetechスタートアップとして2社を紹介した。

  • チカク:テレビに接続することで写真や動画を見ることができるデバイス「まごチャンネル」を提供。セコムとの協業で見守り機能付きのデバイスも提供している
  • ファミトラ:認知症者の資産凍結を防ぐ「家族信託」サービスを提供。老後の資産トラブルを防ぐ家族会議もITでサポートしている

 チカクの梶原健司氏とファミトラの三橋克仁氏が登壇し、Coral Capital シニアアソシエイト 吉澤美弥子氏をモデレーターに、パネルディスカッションを行った。

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