“場所”と“時間”から働き方を改革するABW──「個人の活動」に着目したワークプレイスの変革とは?

第2回

 前回、“Activity Based Working(ABW)”が特に普及したオランダやオーストラリアと日本の間の共通点と、違いを紹介しました。「政府が働き方の構造改革を主導している」という共通点がある一方で、「仕事に対する意識」の国民性に違いがあります。また、ABWな働き方を実現していく上では、ワーカー個人が「生産性」への意識を持つことが重要であるということもお伝えしました。その上で、仕事を「個人の活動」という観点で分解して再構築するプロセスこそが、ABWの本質だとご説明しました。
 今回は、ABWについてさらに噛み砕いてご説明し、仕事を分類した「10の活動」と、それによってワークプレイスがどのように変化するのかを解説していきます。

[公開日]

[著] 筧田 昭文

[タグ] ワークスタイルIT ワークプレイス ワークスタイル 働き方改革 ABW

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“場”の機能を超えた活動がもたらす非効率な働き方

 前回、ABWを「自己裁量を最大化し、ワーカー自らが働き方を自律的にデザインする総合的なワークスタイル戦略」だとご紹介しました。これは一見難しい概念のように感じるかもしれません。しかし、私たちはアクティビティ・ベースドな活動を、「家」で行っています。

 皆さんのある1日を想像してみてください。朝目が覚めて、朝食はキッチンで作り、歯磨きは洗面所でしますよね。お風呂に入ったりシャワーを浴びたりするのは浴室ですし、睡眠は寝室でとると思います。これが「活動にあわせて場所を選ぶ」ということなのです。

 ある夜、ソファに座っていてそのまま眠りに落ちてしまった経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。そのとき、疲れがとれなかったと感じる方がほとんどだと思います。ソファの多くは座ってくつろぐために作られており、睡眠をサポートする機能は持っていません。場所の持つ機能と異なる活動をした結果、成果が現れなかったともいえます。

 そして、これと同じようなことが、今現在の日本のオフィスでは起こっているのです。自席で企画書の作成やメール返信、電話、上司や部下との相談や雑談、さらには昼食までとっているという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

 そうすると、同僚が打ち合わせをする声によって集中が妨げられてしまったり、自分は昼食をとっているのに、周りの同僚が業務処理をしているため気が休まらなかったり、ということが生じます。このように、それぞれが自席の機能を超えた活動をすることで、組織全体として非効率な働き方になっているのだと考えています。

 私たちは、誰もが効率よく働くことができ、最大限の成果をあげることができるような“環境”を整えるべきだと考えています。

 本連載で紹介しているABWは、自分が行う活動で最大限の成果をあげられるように、その活動専用に設計された機能的な空間を選ぶ、それを可能にする環境を会社が整える、という、非常にシンプルな働き方なのです。

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