新型コロナウイルスによる感染症が中国各地の経済や国民の生活に大きな打撃を与えるなか、中小企業はさらに厳しい経営環境に直面している。アリババが創業以来の20年間で築いた「エコシステム」と「テクノロジー」の力で、一連の取り組みを通じて、中小企業とともにこの難関を乗り越えましょうと、呼び掛けた。
公開書簡の中でダニエル氏は、「今回の新型感染症との闘いは全世界に広がっており、社会生活と経済活動に影響を与えています。私たちには迅速な行動が求められています。経済の活力源である中小企業によって経済活動は構成されているため、中小企業が復活できれば、社会経済も回復します。中小企業が復興できば、社会経済も再興します」と述べている。世界規模で経済や社会生活における不確実性が高まっている今こそ、中小企業と連携して、このチャレンジに立ち向う必要があるとしている。
「春雷計画2020」特別プロジェクトは具体的に下記5つの支援策となっている。
1:海外販路の拡大支援
アリババのB to C 越境ECプラットフォームAliExpress、Lazada、天猫海外などを通じて、海外の消費者獲得を支援。また、オフラインでの輸出・販売を中心とした企業に対して、アリババのB to B 国際貿易プラットフォームAlibaba.comのオンライン展示会サービスを通じて取引をサポートする。
2:中国国内販路の拡大支援
- B to Bの中国国内ECプラットフォーム「1688.com」の専用ページを通して、輸出販売中心の企業の卸売市場の開拓を支援。
- オンライン販売経験のない輸出販売中心のメーカーに対して、「天猫スーパー」や「タオバオセレクトショップ(淘宝心選)」のサプライヤーになれるよう、サポート。
- B to CのECプラットフォーム「天猫」や「タオバオ」を通じて、中国国内の販売先拡大支援や、サービス料の免除、販売チャネル構築サポートなどを実施。
3:デジタル工業地帯の構築
- 中国で全体の生産高100億元以上のデジタル工業地帯を10地域構築し、工場のD2C(Direct to Consumer)販売の開始および拡大を支援します。そして、3年以内に1,000の工場が売上1億元以上となるようサポート。
- オンラインでは、B to Bの中国国内ECプラットフォーム「1688.com」にて、デジタル工業地帯の専用チャネルを立ち上げる。オフラインでは、各デジタル工業地帯内でECサービスセンターを設立し、EC人材の育成に注力する。
- デジタル工業地帯が密集している各省で、ライブコマースを支援する100の「タオバオライブ産業ステーション」を構築する。
4:農業デジタル化への支援
- 中国全土に1,000のアリババデジタル農業センターを設立し、最初に設立される施設は今年年内までに100%のデジタル化を目指す。
- ライブコマース(ライブ配信を通じたネット販売)を活用した、地元農産物の販促とブランディング活動を支援。
- 農産物都市コラボレーション計画を発足し、定期的にオンラインで農産物販促イベントを開催。
5:オンライン融資
- 天猫やタオバオといったECのマーチャント(出店者)向けに実施していた、売掛金の回収期間を短くするための即時前入金サービスの無料期間を6月30日まで延長する。
- アント フィナンシャル サービスグループ傘下のMYBANK(網商銀行)が、全国の商工会議所や100の銀行と連携し、1,000万の中小企業や小規模事業者に無接触オンライン融資サービスを提供する。
- アリペイが「1688.com」と連携し、マーチャントにワンストップなオンライン仕入・入荷チャネルを提供し、同時に、後払いによる仕入・入荷も認めることにする。
アリババグループは創業当初より、「あらゆるビジネスの可能性を広げる力になる(To make it easy to do business anywhere)」をミッションに掲げてきた。「春雷計画2020」は、2008年の世界金融危機の際に、アリババグループが発表した「経済の冬」を乗り越えるための中小企業支援策の名称にちなんでいる。当時、アリババは順に、「暗雲計画」、「狂風計画」、「春雷計画」3つの支援プロジェクトを打ち出した。「春雷」とは春の訪れ告げる雷のことで、厳しい冬の時期を乗り越えて春を迎えたいという思いが込められているとしている。