LINEを軸として金融サービスを展開。3つの強みを生かした「金融の民主化」
2018年12月よりLINE Financial 代表取締役社長CEOに就任した齊藤哲彦氏は、富士銀行(現みずほ銀行)入行後、みずほ銀行やオリエントコーポレーションにてデジタルイノベーションを推進してきた。みずほ銀行時代にLINEとともに銀行設立の企画を検討したことが縁で入社することになったという。
LINEは2011年3月11日の東日本大震災を受けて、人と人との関係性を特に重視したサービスとして開始された。現在は、月あたりのアクティブユーザー(MAU)は8,600万人、1日に1回以上ログインする割合(DAU/MAU比率)は85%と多くのユーザーを擁し、国内の生活インフラとして定着している。
コロナ禍でも前年比400万人増とユーザー数は拡大したという。自治体との連携などに使用されるなど、「なくてはならないアプリ」になった。さらに世界230以上の国と地域で利用されており、日本をはじめ、台湾やタイ、インドネシアにて合計1億6700万人ものユーザーを獲得している。
そして、「LINE」を入り口として、オンライン・オフライン問わず、人や情報・サービス・企業・ブランドとシームレスにつながり、すべてが「LINE」で完結する「スマートポータル」の実現を目指している。いわば、近年よく耳にする「スーパーアプリ」と同義というわけだ。その中で「広告」をコア事業、「Fintech」と「AI」を戦略事業と位置付けて注力しているという。
齊藤氏は「Life on LINE」というビジョンを発表していることを紹介。「オンライン、オフラインをマージするOMO、AIやFintechを通してライフスタイルすべてにLINEが寄り添うことを目指している。それは24時間365日、ユーザーの生活すべてをサポートするインフラとなることであり、生活・社会に大きな変化をもたらす “ライフスタイルイノベーション”を実現することで、『WOW』という感動を与えることを目指している」と語った。
こうしたビジョンのもと、「金融が変わる。LINEが変える。」のミッションを掲げ、金融事業を展開する会社としてLINE Financialが2018年1月に設立された。齊藤氏は「LINEがユーザーや社会のコミュニケーションを大きく変えてきたように、金融サービスを、便利でわかりやすく、安心なものに変えていきたい」と意欲を語る。
そして、その実現には「LINEグループが持つ3つの大きな強み」があるという。まず1つめは、国内最大規模のユーザー基盤を持ち、スマートフォンを利用する誰もが使うコミュニケーションインフラとなった「LINE」を軸にサービスを展開できること。そして2つめに、AIやブロックチェーンなどの最先端テクノロジーの開発や研究に果敢に挑戦し、大規模なユーザー基盤にも耐えられるサービスを提供可能な優れたテクノロジーを持っていること。そして3つめが、そのテクノロジーをスマートフォンに最適化された、誰も直感的でわかりやすいデザインを通して、ユーザーに提供できること、である。
齊藤氏は「ユーザーの生活空間に寄り添い、いつでもユーザーの手の中にある“手のひら金融”の実現を目指している」と語り、「お金に関するサービスを身近なものにすることは、まさに、『金融の民主化』というイノベーションを実現することではないか。LINE Financialはユーザーの新たな金融体験をデザインし、社会的課題である『キャッシュレス』や『貯蓄から資産形成』に貢献していく」と改めて強調した。