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銀行そのものをデジタルで根本的に変える──北國銀行が取り組む地域金融機関のDXとシステム戦略

Biz/Zine Day 2021 Winter レポートVol.4:株式会社北國銀行 新谷敦志氏

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 企業のDX推進が大きな課題となる中で、地域金融機関でも様々な取り組みが進んでいる。石川県金沢市に本店を置く北國銀行もまた、業務改革や営業改革など様々な改革を推進し、2017年からDXプロジェクトに着手。その延長として、2021年5月には勘定系システムのパブリッククラウド移行を予定しているという。同社システム部システム企画課長の新谷敦志氏は「15年にわたって地道な取り組みを進めていたが、現在の先進的な技術なら今から始めても一気に3〜5年で現在のレベルに到達できるはず」と語る。その根拠として、これまでの経緯とともに、今後のシステム戦略やDXの取り組みについて紹介した。

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2000年から続く北國銀行のDXの軌跡

 冒頭、新谷氏は北國銀行のICT化や業務改革の状況について、「社外からよく受ける質問」に答える形で、その進捗状況について紹介した。

 7年前から行内はペーパーレスとなり、唯一残っていた取締役会の議事録も電子サインに移行し、完全ペーパーレスとなった。よってシュレッダーもなければ、行内の業務でハンコを使わない。テレワークも完全対応し、本部機能およびシステム開発もリモート可能となっている。

 また、支店では融資係を10年前に撤廃しており、窓口でも入力業務をほぼ行わず、通帳発行などの実行オペレーションはイメージデータをすべて事務センターに送ってそこで実施するようにしている。営業店のテラーの端末は専用端末からパソコンに切り替わっており、それに従って金融機関では5~10年に1回、20〜40億円をかけて行われる営業店端末入替プロジェクトを行わずに済むようになった。現在、通帳などに印刷する“通電”も廃止するプロジェクトも遂行中であり、端末類の保守費用も内製化したためにランニングコストがほぼかからなくなった。

 そして現在、自作ATMのプロジェクトを開始しており、2021年夏には展開予定だという。インターネットバンキングは独立した銀行そのもので、完全完結型であり開発&運用も自ら行った。この個人版は既に稼働しており、2021年秋以降には法人版も稼働を予定している。残業がほとんどないために、かつては10億円かかっていた残業代が1億円程度に収まっており、有給休暇の平均取得日数も15日になった。

 「いずれもDXやシステム戦略をトリガーとしたビジネスモデル改革の結果」と新谷氏は語る。

 では、どのようにしてこれらを実現させたのか。新谷氏は「変革のベースは“オペレーション”と“IT”と考え、15年にわたり50以上の案件に取り組んできた」と語る。そして、これまでは“内なるDX”として行内の取り組みが多かったが、2015年頃から、対顧客のDXへとシフトしつつあるという。

 この中でターニングポイントになった案件として、まず新谷氏は、2000年に行った「エリア営業体制導入」をDXの取り組みの起点と表現し、「元々150支店ほどあった拠点を“支店内支店”という形で整理し、2020年末時点で97拠点に集約した。拠点のコストを削減し、営業を効率化することでコストを捻出し、各案件に投資した」と説明した。また、2011年にグループウェアをディサークル社製の「POWER EGG」に更新し、シンプルで使いやすく、ワークフロー機能が活用できることから、その後のペーパーレスの基盤としている。

 また、2014年に全社員にSurfaceを配布した。当時はシンクライアントであり、「どこでも営業店」をキャッチフレーズに行内行外に関わらず、どこでも同じ機能が使える環境を整備した。そして、2015年に勘定系システムをメインフレームからWindowsベースの「BankVision」(日本ユニシス)に移行したことで、生産性が向上しただけでなく、外部との連携が行いやすくなったという。その後2016年にはSurfaceとスマートフォンを新たに導入して全社員に配布した。

 さらに本格的なクラウド化が加速したのが、2019年の個人向け「北國クラウドバンキング」の開始だ。そして2020年の次期IT基盤構築においては、2015年に導入したシンクライアントをFAT端末へと変更。業務端末から直接インターネットに接続して業務を行えるようになったことで、大きく業務効率化を図ることができたという。

 新谷氏は「かつてはシンクライアントしか方法がなかったが、セキュリティ技術が進化し、様々なソリューションでカバーできるようになった。インターネット上の最新技術を利用できるようになり、テレビ会議や顧客への説明や研修などもストレスなく行える」と語った。

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