古典書籍が抱える課題
出版から長い年月を経た古典書籍の中には、現在でも参照価値が高く、リサーチでも頻繁に参照されている書籍が少なくない。しかし、その多くはすでに絶版になるなど、書店で入手することが困難となっている。また、このような古典書籍を電子書籍として配信する場合には、紙媒体での出版権とは別に新たに公衆送信権を取得する必要があるが、古典書籍はすでに著者が所在不明となっていることもあり、その許諾の取得も容易ではない。そのため、これまで先人達が蓄積してきた「叡智」たる法律書籍が活用されず、眠ったままになっていることが少なくない。
「叡智の掘り起こしプロジェクト」では、このような問題を解決するために、過去の古典書籍の著作権関係を整理し、文化庁の裁定申立て制度なども活用のうえ、積極的に著作権の処理を行い、流通させることで、現代によみがえらせることを目指す。
注釈民事訴訟法とは
このプロジェクトでは、最初に1991年から1998年に発刊された『注釈民事訴訟法(1)~(9)』などを対象として著作権処理を実施。同シリーズは、第一線の民事訴訟法学者と練達の実務家が執筆し、これまでの理論上の問題を整理し判例・学説の展開を踏まえ、実践と理論の架橋をめざす本格的注釈書の一つ。1996年(平成8年)制定の現行民事訴訟法の前に施行されていた旧民事訴訟法に関する注釈書だが、現行法で内容が維持された規定も多く、現行法の解釈に大いに参考になるものとして図書館などで非常によく閲覧されている。
「LEGAL LIBRARY」とは
「LEGAL LIBRARY」は、信頼できる法律専門書や官公庁等が作成している各種資料をデータベース化し、クラウド上から横断的に検索し、閲覧することができるリサーチシステム。すでに大手法律事務所や上場企業の法務部をはじめ3,000名以上の有料会員が利用しており、今後、貴重な古典書籍も含め益々の書籍の充実を図り、更なる利便性の高いリーガルリサーチサービスを提供していくとしている。