南紀白浜エアポート、日本電気(以下、NEC)、THK、オリエンタルコンサルタンツは、南紀白浜空港において、ローカル5Gをはじめとしたテクノロジーを活用して課題解決を目指す新たなサービスの開発を目的とした実証実験を実施する。この実証実験には、日本マイクロソフトと凸版印刷が協力する。
6社は、南紀白浜空港にローカル5Gのネットワーク環境を新たに構築し、MR(Mixed Reality、複合現実)を実現するMicrosoft HoloLens 2(以下、HoloLens 2)を利用した空港職員向けのスマートメンテナンスサービスや、複数ロボットを空港内エリアで協調制御させて来訪者を目的地まで案内するサービス、MR空間でペイントしたオリジナル飛行機の着陸見学体験サービスの実証を順次開始する。
実証の役割分担
- 南紀白浜エアポート:実証環境提供
- NEC:ローカル5GとMECシステム構築、スマートメンテナンスサービス開発、複数ロボット協調制御機能開発
- THK:サイネージロボット技術サポート
- オリエンタルコンサルタンツ:空港内施設点検業務アドバイザー、技術サポート
- 日本マイクロソフト:Azure(クラウド・IoT・MEC)技術サポート、Microsoft HoloLens 2技術サポート
- 凸版印刷:MR体験コンテンツの開発、実証
実証の概要
南紀白浜空港の空港ターミナル内とエプロン(航空機を駐機する場所)、滑走路周りの場周道路を対象に、4.8GHz~4.9GHzを利用する固定型と可搬型のローカル5G基地局を活用したローカル5Gネットワーク環境を構築し、以下の実証実験を行う。
1.HoloLens 2を活用したスマートメンテナンス
HoloLens 2とNECの点群データ活用侵入検知技術、ローカル5Gの大容量通信を組み合わせ、樹木など制限表面を超える物体を分析・検知して点検者のHoloLens 2に表示し、点検時の見落としを防ぐ。また、HoloLens 2上で現実空間に前回点検時の記録を重ね合わせて表示することで、目視と比べ、作業時間の短縮と確認の効率化を実現する。同時に、熟練労働者の技術力の継承の一助とし、生産性が高い業務環境創出を実現する。
2.複数ロボット協調制御による来訪者案内/デジタルサイネージ広告
THKのサイネージロボットとNECの複数ロボット協調制御技術を活用し、空港内のエリアを2台のロボットが協調連携しながら分担して来訪者を目的地まで案内する。案内終了後は移動型デジタルサイネージによる宣伝広告に切り替わる。ネットワーク越しでのロボットの統合管理・制御により、ロボットによる業務遂行の生産性・安全性・品質の向上に貢献していく。
加えて、ローカル5Gの安定したネットワークによりロボット搭載カメラから映像を取得することで、遠隔地からオペレータのロボット操作による案内も可能となる。これにより、案内スタッフのテレワーク実現を目指す。
3.MR空間でペイントしたオリジナル飛行機の着陸見学
南紀白浜空港が実施しているバックヤードツアーのコンテンツ拡充を見据え、ローカル5Gの低遅延でリアルタイム伝送できる特徴とMR技術を活用した新たな観光体験を提供する新サービスの実証を行う。このサービスの追加により、さらなる体験価値や魅力度の向上を図り、南紀白浜エリアの来訪者増加につなげていくという。
6社は、将来的にHoloLens 2などMRデバイスにおける現実空間とデジタル空間の位置を調整する方法の高度化や、実証で使用した複数ロボットの協調制御機能を空港・他業種のソリューションへ応用するなど、今後もローカル5Gを活用して南紀白浜空港の魅力を向上させ、生産性が高く働きがいのある業務環境の創出、来訪者の増加という課題解決を目指すとしている。