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Biz/Zineセミナーレポート

なぜトヨタはデジタル人財へのリスキリングに注力するのか──モノだけでない、移動体験全体のデザインへ

登壇者:トヨタ自動車株式会社 デジタル変革推進室 軸丸晃年氏、藤野哲氏

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 2024年10月30日に開催された「Biz/Zine Day 2024 Autumn」では、「データ×デザインによる両利きの経営」をテーマに、各業界のリーディングカンパニーが講演を行った。クロージング講演では、トヨタ自動車株式会社 (以下、トヨタ) のデジタル変革推進室から、主査の軸丸晃年氏とデジタル人財育成グループ主幹の藤野哲氏が登壇した。両氏はトヨタのデジタル変革の背景や、デザイン人財の育成がDX推進に果たす役割、急速な変革期にある自動車業界でどのようにして組織変革を進めているのかを説明した。本記事では、トヨタが掲げる「ヒト中心のデジタル変革」とそのための人財育成の具体的な取り組みについて紹介する。

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百年に一度の自動車業界の変革期にトヨタが育成する「デジタル人財とデザイン人財」

 1993年にトヨタに入社した軸丸氏は、品質保証や経営企画部門を経て、2021年にデジタル変革推進室の立ち上げに関わり、全社の変革推進とデジタル人財育成に注力してきた。一方、藤野氏はIT企業でシステム開発に従事した経歴を持っており、現在はトヨタで全社的なデジタル人財育成を企画・推進している。

 軸丸氏は冒頭、トヨタの基本理念である『豊田綱領』にも掲げられている「産業報国」を紹介し、社会への貢献がトヨタの経営戦略、ひいてはデジタル変革の基盤となっていると説明する。

画像を説明するテキストなくても可
資料提供:トヨタ自動車株式会社 デジタル変革推進室 軸丸晃年氏、藤野哲氏の登壇資料より/クリックすると拡大します

 現在、自動車産業は「百年に一度の変革期」を迎えている。20世紀初頭、わずか十数年で馬車が自動車に取って代わられたように、現在の自動車産業にもまた、急激な変化が訪れると予想される。この変革期において、トヨタも、未来に向けた新たなモビリティの実現、そしてそれを通じた社会への貢献に向けて準備を進めており、デジタル変革はその一環として位置づけられる。

 また、トヨタの「デジタル化」の定義についても紹介があった。「デジタイゼーション」(デジタルを活用した局所業務の生産性向上や効率化=世間で一般的なデジタル化)、「デジタライゼーション」(デジタルを駆使しながら全工程や多くの工程を大横断して行なう業務の抜本的な変革)、「トランスフォーメーション・ウィズ・デジタル」(クルマだけに限らない感動的な良い体験をデジタル技術を用いて動的に提供できる企業群になるための大変革)、それら3段階の取り組みの総和をトヨタでは敢えてシンプルに(トヨタの)「デジタル化」と定義して様々な施策に取り組んでいる。

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資料提供:トヨタ自動車株式会社 デジタル変革推進室 軸丸晃年氏、藤野哲氏の登壇資料より/クリックすると拡大します

 藤野氏は、現在は「デジタイゼーション」の段階から、ようやく「デジタライゼーション」、ビジネスプロセスの見直しも含めた抜本的な改革へのデジタル活用に入りつつある段階と述べる。今日の講演内容も、あくまで「デジタル変革」の初期段階の一部分を紹介するに過ぎないとし、表面的ではない抜本的な変革を目指していることを強調する。

 軸丸氏は、デジタル技術を駆使して、お客様一人ひとり、従業員一人ひとりに「感動的」な「良い体験」を「動的」に提供することで、次の百年もトヨタグループが地球・社会・お客様から必要とされて産業報国し続けることが最終的なゴールだという。

 お客様にとっての体験価値は、クルマなどの有形のモノと無形のサービス・印象の総和であり、今後は特に、モノの価値に加えて、無形のサービス・印象が体験価値の鍵になる。「デザイン」「ソフトウェア」「データ」というテクノロジーの活用はもちろん、「アジャイル」で「自律分散型」のマインドセットを持って新たな価値を創出する人財、「変革者」としての能力や立ち回りも求められる。

 トヨタは、「デザイン人財」「デジタル人財」の育成を通じ、トヨタが提供する体験価値を更に増やすことに取り組んでいくという。

軸丸晃年
トヨタ自動車株式会社 デジタル変革推進室 主査(担当部長) 軸丸晃年氏

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この記事の著者

和久田 知博(ワクダ トモヒロ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

島袋 龍太(シマブクロ リュウタ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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