「レイヤー構造」でコミュニケーションを変えたDX事例
ここで、縦割りの構造をレイヤー構造で見直してDXを行った企業の例を見てみよう。最初に西山氏が紹介したのが、トヨタ自動車のTier1(一次請け)の企業である旭鉄工の事例だ。この企業が実現したことは、IoTを通じたDXである。
旭鉄工は金属加工品を作る企業だが、多くのラインで多品種の製品を製造している。この会社のDXは、個々のラインが動いているか止まっているかをセンサーで確認し、リアルタイムで常時監視するシステムを整え、そのデータをクラウドに上げることから始まる。そのデータはグラフ化し、ライン毎の経営へのインパクトを比較しやすいように金額ベースで表して、経営ダッシュボードで社長や経営層を中心に様々な人が見られるようにもした。同時に、タブレットを現場に持たせて、コラボレーションツールで画像も含めてデータが共有できるようにした。簡単にまとめればこうなるのだが、それだけでも、年間3,000万円を投じた結果、年間で労務費が4億円、設備投資が1億円、電力量が9%減るという、極めてリターンの良い投資になったとのことだ。