住友林業は、木材・建材メーカー向けに環境認証ラベルEPD取得推進事業と、デベロッパー・ゼネコン・設計事務所向けに「One Click LCA」算定受託事業を開始した。同事業を通じて、建設業界の脱炭素設計をサポートするという。
全世界のCO2排出量に占める建設部門の割合は、約37%(global alliance for building and construction〈2021〉)と言われている。ZEHやZEBなどの普及により、「暮らすときのCO2排出量(オペレーショナル・カーボン)」の削減は進んでいる一方、「建てるときのCO2排出量(エンボディード・カーボン)」の削減には課題があるという。
今後、欧州では建設業界のCO2排出量削減に向けた規制が強化され、2030年までにすべての木材・建材に温室効果係数のデータ開示が求められる方向で進んでいる。このような動きは日本にも波及し、建設業界からメーカーに対してCO2排出量の開示要請が増えることが予想され、環境認証ラベルEPDの取得・普及を業界全体で推進する必要があるとしている。
現状では、環境認証ラベルEPD取得にかかる費用や作業負担が大きいため、木材・建材メーカーをサポートし、取得・普及を推進していくことが重要だと述べている。
脱炭素設計サポート事業の概要
EPD取得推進事業(木材・建材メーカー向け)
- 2023年2月より、One Click LCA社が提供する「EPDジェネレータ―」日本版を発売開始。EPDを取得する際、投入する資材や製造に関わるエネルギーなどのデータを集計する必要があるが、このソフトウェアを利用することで、その作業の省力化と取得にかかるコストを低減できるという。ソフトウェアに設定してある項目に必要情報を入力することで、ISO21930に準拠した環境認証ラベルEPDの取得申請手続きを、ソフトウェア上で完了できる
- EPD取得に関する研修や申請作業のサポートを提供し、木材・建材メーカーと共にEPD製品のマーケティング活動、普及に向けて取り組む
「One Click LCA」算定受託事業(デベロッパー・ゼネコン・設計事務所など向け)
- 「One Click LCA」を使用し、個別のプロジェクトに対するCO2排出量を算定。建物の資材データをもとに、建物全体・資材別・部位別・ライフサイクル毎など、建てるときのCO2排出量を算定しレポートを作成・提出する。ソフトウェアを購入せずに、プロジェクト単位で算定を希望するユーザーを含めた事業者の「建てるときのCO2排出量(エンボディード・カーボン)」の見える化・削減をサポート