PKSHA Technology(以下、PKSHA)は、東京海上日動火災保険(以下、東京海上日動)、日本マイクロソフトと、大規模言語モデル(LLM)の全社的な業務適用領域の特定を目指し、保険業界に特化した対話型AIの開発に着手、試験適応を2023年6月に開始すると発表した。
なお同取り組みは、東京海上日動とPKSHAの合弁会社AlgoNautと連携のもと行われるという。
実証実験の1つとして、照会対応業務に対する社員の業務効率化への活用に向けたプロトタイプの開発に着手。今後は、LLMの活用が適切な業務を拡大するとともに、2023年度中に、東京海上日動における全社的な大規模言語モデルの活用ロードマップの策定を予定しているという。
東京海上日動は、全社的なLLM活用の起点として、照会応答業務に対する社員の業務効率化への活用に関し、2023年6月より一部支店への試験導入を行うとしている。
まずは、代理店からの問い合わせに対応する照会応答業務へのプロトタイプの開発・実装に着手。保険の種類や補償内容の詳細といった問い合わせ情報に対して、東京海上日動が保有するデータベースおよび知見を参照し、AIが回答を生成する。
従来は一から補償情報や顧客情報を照合していたため、対応に時間がかかるケースもあったが、一次対応の自動化率を高めることで、業務工数の削減と対応の迅速化による問い合わせ体験の向上を目指すという。
同プロトタイプ実装をはじめとし、文章の厳密性や利用コストといったLLMの特徴を踏まえ、低リスクな観点から利用範囲の拡大に向けて共同で研究開発を行うとしている。
今回の取り組みには、マイクロソフトが提供する「Azure OpenAI Service」および、PKSHAのAIソリューション「PKSHA LLMS」を採用している。
2023年6月からの実運用を通じて対話型AI活用における知見を蓄積し、2024年度中には東京海上日動の全国の社員が活用できる機能としての導入を目指すとともに、幅広い業務領域での活用方法も検討していくと述べている。
対話型AIの活用を通じて、AIによる業務効率化を進めていくとともに、創出された時間を活用して人にしかできない対応・創造的な発想など新たな価値創出につなげることで、東京海上日動が牽引する「人の力とデジタルのベストミックス」を支援していくという。