マネーワークの概要、ソースプリンシプルとのつながり
次に、「マネーワーク」の概要について、ソースプリンシプルとのつながりも含めて見ていきます。
マネーワークの目的は、誰もが「愛してやまないこと」を生き、自分のパーパスやビジョンを具現化できることです。マネーワークを通じて、マネーを健全に活用できるようになっていきます。本来は自分が持っているエネルギーがあるのに、いつの間にかマネーのほうにエネルギーを置いていたり、押しやっていたりすることがあります。それを自分のアイデンティティの一部として取り戻すことがポイントです。こうした特性のあるマネーワークは、「リクレイミング(取り戻し)ワーク」とも呼ばれています。
現代の私たちは、日々の暮らしや仕事において、マネーを使った経済活動に慣れ親しむがあまり、「自分が具現化したい本来のパーパスやビジョン」に無自覚になり、いつの間にか、マネーを獲得し、蓄積すること自体が目的化する傾向があります。
その背後には、私たちの「死への怖れや不安」があり、ピーターは現代のマネーシステムは「怖れに基づくシステム」であると言います。そのため私たちが持っている怖れに自覚的になり、継続的にマネーワークを実践することで、本来の自分のパーパスやビジョンを取り戻し、維持することが重要となります。
上記のことからピーターは、マネーワークをソースプリンシプルの実践(ソースワーク)よりも優先するものとして位置づけています。マネーワークが十分になされてこそ、ソースワークに取り組む際に、マネーよりも優先したい「自分が愛してやまないこと」の実践が可能となるからです。
マネーワークが生まれた背景
ここからは簡単に、マネーワークが生まれた背景を振り返っていきます。マネーワークはピーターの「愛からビジネスを創作するには?」というビッグ・ピクチャーのもと、「マネーは私たちにどんな影響を与え、私たちはマネーからどんな影響を受けているのか?」という問いに基づく探究から生まれてきたものです。探究を始めて7年が経ったある日、ピーターは「マネーとは何か?」という問いにたどり着きました。
その答えは百人百様です。例えば、「マネーとは自由である」「マネーとは安心である」「マネーとは不安を作り出す」「マネーとは汚い」「マネーとは選択肢を生み出す」など。人は多様なことをマネーに映し出している(投影している)ことが分かりました。
ピーターは、人々がマネーに対して、「様々な投影を行っており、その投影について無自覚であることが多い」ことを発見しました。さらに、その投影の結果、本来自分が持っているアイデンティティを失っている状態にピーターは気付いていきます。
例えば、「マネーがあれば、束縛を受けず、自分が思うままに振る舞うことができる。つまり『自由』に生きることができる」と無自覚的に思っている人を思い浮かべてみてください。この場合、本来は私たちの中にある「自由」というアイデンティティを、マネーの側に預けてしまっている状態が生まれていると、ピーターは見ています。
本当は「自由」というアイデンティティは自分の中にあるのですが、マネーに「自由」を投影することで、自由というアイデンティティと自分とのつながりを断っているということです。言い換えると、「マネーがあれば自分は自由になれる」が、「マネーがなければ自分は自由ではない」という思い込みです。