2008年以降低迷していた未公開企業の資金調達額は、2013年から増加回復に転じ、6年ぶりに1,000億円を超えた2014年の勢いを継続し、2015年上半期は624億円と活発であった。
1社あたりの資金調達額(中央値)は、2012年からの増大傾向に続いてさらに大型化し、2015年上半期は過去最高の1億3,000万円となった。
一方、資金調達を行った企業数(金額不明を含む)は、減少傾向にある2014年下半期の424社からさらに減少し326社となった。より限られた投資先に資金が集中する傾向が表われている。
また、投資家に大きな変化が表れている。ベンチャーキャピタル(VC)や事業法人、金融機関など法人投資(個人投資家や地方公共団体などは除く)の投資状況をみると、事業法人による投資は投資額、投資社数ともに飛躍的に高くなっている。
調達額の増大(Valuationの高騰)の傾向により、独立系VCなどが投資活動を慎重にしている一方で、事業法人や事業会社系VCの積極さが表れている。
2014年末からVC各社の協力によりデータのカバレッジ、品質が飛躍的に向上し、その成果として優先株の利用状況が明らかになっている。協力したVC10社の投資情報を集計すると、2015年上半期は、優先株の利用が76.9%を占め、資金調達の大型化が顕著となった2014年から優先株の利用が大きく普及している実態がある。
- 資金調達額は2014年の勢いを継続し2015年上半期は624億円となり2014年下半期と同規模。2014年上半期の575億円からは8.5%増加。
- 資金調達を行った企業数(金額不明を含む)は、326社となり2014年下半期から23%減少。2014年上半期と比較すると35%の減少。
- 1社あたりの資金調達額(中央値)は1億3,000万円で過去最高。2014年の記録をさらに更新、資金調達の大型化が顕著。
- 業種別では、社数はIT系が引き続き堅調、調達金額ではヘルスケア/バイオ/医療が健闘。
- 投資家別では、事業法人の投資額、投資社数が増加傾向。2015年上半期は439.7億円、法人投資の52.3%を占める。
- 地域別では、大阪など近畿地区の資金調達額の割合が2014年下半期の3.6%から2015年上半期は11.7%と増大し復活をみせる。
- 優先株の利用が大きくすすみ、資金調達における優先株の利用が76.9%を占める。