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ライオン、組成開発へのMI導入でデータ駆動型の実験計画手法を確立 ハミガキの組成開発期間が約半分に

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 ライオンは、製品の組成開発での活用を目的にマテリアルズインフォマティクス(MI)を用い、同社研究員の知見を取り入れたデータ駆動型の実験計画手法を新たに確立し、運用を開始した。

 同手法をハミガキの組成開発に応用したところ、実験回数を大幅に削減し、想定の約半分の期間で開発できたことから、今後の研究開発のスピードアップが期待されるという。この研究内容は、第37回人工知能学会全国大会(2023年6月6日~9日)にて発表されている。

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 同社では、これまでにMIを活用してプロセス開発における検討期間を短縮化するシステムを開発している。一方、組成開発では従来、膨大な組み合わせの中から、研究データや研究員の知見に基づいて候補となる組成を考案し、実験を繰り返すことで、目標を満たす組成を絞り込んでいた。しかし、新規成分の配合や品質項目の追加を伴うような開発テーマの場合、検討の初期段階では研究データが不足しているため、一定の検討期間を要していたという。

 そこで今回、MIの専門知識を持つ人材を育成し、主幹事業であるハミガキの組成開発に活用できる実験計画手法を独自に確立することで、研究開発の生産性向上に取り組んだとしている。

研究内容

 ハミガキの組成開発においては、香味や泡立ち、ペーストの固さや滑らかさなどの使用感の良さや、むし歯や歯周病を予防する機能など、複数の目標を同時に満たすことが必要となる。同研究では、限られた既知データを起点に組成探索が可能な機械学習手法である「ベイズ最適化」に、研究員の知見を効果的に取り入れることで、より少ない実験回数で複数の目標を満たせる実験計画手法を確立したという(図1)。

図1:ベイズ最適化を用いたハミガキ開発の手順
図1:ベイズ最適化を用いたハミガキ開発の手順
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研究結果

 上記の実験計画手法を用いて、ハミガキの固さと滑らかさの物性指標である粘度と弾性率の最適組成を探索。その結果、サンプルは100回以上作製することも珍しくない中、16回の作製で目標を満たす組成を導き出すことができ(図2)、同手法に伴う追加工程を含めても想定の約半分の期間での組成開発を実現したという。今後はハミガキだけでなく、様々な製品の組成開発にも同手法を応用していく予定だとしている。

図2:同手法によるハミガキ組成の探索過程
図2:同手法によるハミガキ組成の探索過程
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BizZine編集部(ビズジンヘンシュウブ)

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