この調査は、世界を代表するスポーツ用品ブランドであるNIKE、adidas、アシックス、ミズノの4社について、(1) NPSと収益との関係性の明確化、(2) NPSを向上させるための要因の特定、を分析したもの。
NPS(ネット・プロモーター・スコア)は、顧客ロイヤルティを数値化した指標で、スコアの算出方法は、まず「あなたは(ブランド名/ 商品名) を友人にすすめたいと思いますか?」と顧客に質問し、0~10点で推奨度を聞く。次に、推奨度ごとに顧客を「推奨者」「中立者」「批判者」に分類する。
NPSは、「推奨者」の割合から「批判者」の割合を引いた数値のことを指す。NPSは、企業のビジネス指標と相関が強いことから、欧米を中心に急速に広まっているという。
NPS第1位はアシックス今回の調査対象となった総合スポーツメーカー(アシックス、adidas、NIKE、ミズノ)の中で、企業別のNPSを集計した結果、1位が42ポイントのアシックス、そして2位が33ポイントのNKEという結果になった。また、4社の平均点は24.5ポイントとなった。
アシックスとNIKEのNPSと共に、「売上」と「CAGR(年平均成長率)」について調査を行ったところ、2014年度の日本国内での売上高は、アシックスが1198億円、NIKEが933億円とアシックスの方がより売上を上げていることがわかった。
また、両社の過去5 年間の(2010年~2014年)のCAGRを比較したところ、アシックスが2.9%、NIKEが-0.36%と長期的な成長率で見てもアシックスの方がより収益性が高いという結果となった。上記より、NPSで勝るアシックスが企業業績の面でもNIKEを上回っていることがわかる。
NPSの向上は購入回数・継続意向・口コミ数の向上に有効分析によると、批判者のうちわずか21%程度しか過去5回以上の購入経験がないのに対し、推奨者においてはその割合が61%にまで上る。
批判者のうち継続購入意向を示す、「恐らく今後も購入する」もしくは「今後も継続して購入する」と答えた人はわずか40%に留まったのに対し、推奨者の場合は全員が今後の継続購入意向を示すという結果になった。
推奨者のうち85%が実際に家族や友人にすすめたことがあると答え、批判者の約5倍の水準となった。
推奨度が高い顧客は「購入回数」「継続購入意向」「口コミ実績」がそれぞれ高く、NPSを向上することでこれら3点の向上が狙える。
NPS向上には、商品の機能性を高めることが効果的購入した商品に関する満足度、販売員の接客に関する満足度、品揃え・見つけやすさに関する満足度、お問い合わせ窓口の対応に関する満足度を計測し、推奨度に与える影響度合いを分析したところ、「商品の満足度」が一番影響度が高く、その中でも機能性を向上させることが一番効果的であることがわかった。
多数の顧客が、「その商品が自分にフィットするか」「軽くて走りやすいシューズか」など商品の性能に関心を寄せている。
「機能性」の日系メーカー、「デザイン性」の外資系メーカ日系メーカーであるアシックス、ミズノは「機能性」、外資系メーカーであるNIKE、adidas は「デザイン性」にポジティブなコメントが多く集まっている。