AI導入はデスクワークを超えてフィジカル領域へ(アクセンチュア)
2025年の象徴的な取り組みを振り返って
2025年はAI技術の進化とともに、企業によるAI活用が本格化し始めた年でした。海外ではAIを基盤に急成長する新興企業が台頭しています。一方、多くの国内企業では効率化を目的とした実証実験(PoC)にとどまり、AIをビジネス全体に適用して大きな成果を創出する取り組みはまだ限定的であるものの、AIを前提とした新しい価値創出や経営モデルの変革を模索する動きも始まっています。
AIはデスクワークを超え、製造や物流などのフィジカル領域へ急速に拡大し始めました。ロボティクスや自動運転といった分野でフィジカルAIの実装が進み、センサーとAIを組み合わせたリアルタイム最適化の実現を見据えた取り組みが加速しています。
こうした潮流の中でアクセンチュアは、特にフィジカルAI分野においてMicrosoft、NVIDIA、Siemensなどとの戦略的パートナーシップを強化しました。これらパートナー企業の技術も活用しながら、フィジカル領域でのAI活用に注力しています。
同時に、アクセンチュア自身もAIとの協働を前提とした組織・業務プロセス改革と新しい働き方の浸透を進め、その知見を顧客企業へ還元しています。

アクセンチュア
執行役員 インダストリーX本部 統括本部長
金森 崇宏氏
製造・流通・小売・運輸など、幅広い業界において構想策定からシステム開発、定着化と現場の業務改革まで20年以上に亘り支援。製造業における研究開発、生産、物流のほか、原価管理・販売など、バリューチェーン全体に精通。現在はインダストリーX本部 統括本部長として、日本のものづくりにデジタルを梃にした改革の実現に向けて全国各地を飛び回る。
顧客価値を起点に業務プロセスの再設計を(アビームコンサルティング)
2025年の象徴的な取り組みを振り返って
2025年は生成AIの急速な進化を背景に、企業が自社業務における活用方法を本格的に探索した一年でした。CX領域でも、定型業務への生成AIの適用や、AIペルソナを活用したマーケティング支援が一気に広がり、多くの企業でPoCや導入検討が加速しました。
しかし、AIによって業務効率が向上しても“顧客に提供する価値をどう高めるか”という根本課題は依然として解決されません。AIが前提となる時代では、AIが存在しなかった時代に設計された顧客価値・業務・組織は前提条件そのものが異なるため、そのままでは構造的なズレが生じます。求められるのは個別業務の置き換えではなく、顧客価値の再定義を起点に、業務プロセスと組織のあり方を一体で再設計する視点です。
さらに、この再設計を支える人材像やスキルセットも刷新が不可欠であり、従来の分業的な体制ではAIを価値創造に結びつけることが難しくなっています。AI導入を既存業務の効率化の延長として捉えるのではなく、企業の価値創造モデルそのものを見直す局面に入っていると言えます。その転換ができる企業こそが、CXでの差別化と持続的成長を実現することができるでしょう。

アビームコンサルティング
執行役員 プリンシパル 企業価値戦略ユニット長 兼 顧客価値戦略ユニット長
斎藤 岳氏
コンサルティングファームを経て、2001年にアビームコンサルティングへ入社。製造業、情報通信業、サービス業、総合商社、小売・卸業、独立行政法人といった幅広い業種に対し、戦略策定および戦略実現支援のコンサルティングプロジェクトを30年近くに亘り実施。著書に『1回の会議・打ち合わせで必ず結論を出す技術』(東洋経済新報社、2008年)『ロジカル・セリング』(共著、東洋経済新報社、2010年)などがある。
