中期経営計画において、目標とされている財務数値については近年ROEやROICが重視される傾向にあります。実際、前回解説した森永製菓と明治ホールディングスの目標とする財務数値にはROEとROICが両方とも入っています。なぜ多くの企業が、売上高や営業利益だけではなく、ROEやROICを中期経営計画の中心に据えているのでしょうか。それは「企業価値をどう高めるか」という、より本質的な問いに関わっています。そこで、今回は、ROEとROICに森永製菓のIR資料に基づき解説をしていきます。
営業利益率だけでは企業価値は伝わらない
利益率と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。おそらく多くの人は、営業利益÷売上高で計算される「営業利益率(Return on Sales。ROSとも表現される)」をイメージすると思います。実際、この営業利益率は、前回解説した森永製菓と明治ホールディングスの財務数値の目標としても入っています。
また、P/Lを単純化したP/L構成でもよく営業利益率が使われています。たとえば、森永製菓と明治ホールディングスをP/L構成で作成をすると以下の図のようになります。
多くの場合、利益率と言えば営業利益率を想起しますが、それだけを見ていては企業がどれだけの資本を使って利益を生み出しているのかは見えてきません。実は、利益率を見る際には、営業利益率に加えてもう1種類の利益率を見る必要があります。それはどれだけの資本を使って利益を生み出したかをみる利益率の指標です。これこそがROEやROICなのです。
ROEとROICはそれぞれ以下の計算式で求めることができます。
- ROE(Return on Equity)=純利益÷自己資本
- ROIC(Return on Invested Capital)=税引後営業利益÷投下資本
営業利益率では、分母にはP/Lの売上高、分子にはP/Lの営業利益率が用いられます。一方で、ROEやROICでは、分母にはB/Sの自己資本や投下資本が、分子にはP/Lの当期純利益や税引後営業利益が用いられるのです。これらをまとめると以下の表になります。
このROEやROICは、企業の中期経営計画でもよく使われる指標です。実際、「企業価値向上に向けた取り組みに関するアンケート」において、「経営目標として重視すべき指標」として投資家85人聞いたアンケートでは、ROEとROICが1位と2位となっています[1]。
[1]ただし、企業向けの同じアンケートでは、ROICの支持率は25.4%であり、投資家と企業で認識ギャップの大きい指標として考えられている。他方、ROEは支持率78.6%で投資家むけアンケートと同じく、企業向けアンケートでもトップになっている。
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