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ガートナー、生成AIの活用拡大に伴う今後1~2年のCIOの最優先課題を発表

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 ガートナージャパン(以下、Gartner)は、人工知能(AI)、特にジェネレーティブAI(生成AI)の台頭が人間とマシンの関係を大きく変化させている、との見解を発表。AIが単なるITイニシアティブではなく、全社的なイニシアティブになるにつれて、CIOとITエグゼクティブにとって重要な2つの領域が明らかになっていると発表した。

 同社のディスティングイッシュト バイス プレジデント アナリスト兼Gartnerフェローであるデーブ・アロン(Dave Aron)氏は、次のように述べている。

「ジェネレーティブAIは単なるテクノロジでもビジネス・トレンドでもありません。人間とマシンとの関係において重大な変化をもたらすものです。マシンは『人間の代わりに何かをする』ものではなく、マシンが『人間と共に何かをする』ものに変わりつつあります。マシンは人間のツールからチームメイトへと進化しつつあるのです。2030年までに、人間の80%はスマート・ロボットと日常的に関わるようになるとGartnerではみています。

CIOには、人がAIをどのように形成し、AIが人をどのように形成するかについて、大事な役割を担っています。Gartnerの調査によると、世界のCEOの51%が、CIOなどのテクノロジ・リーダーがジェネレーティブAIへの取り組みを主導することを期待しています」

 「Gartner IT Symposium/Xpo 2023」のオープニング基調講演において、Gartnerのアナリストは、今後1~2年にCIOがAIの取り組みを主導するためには、「AIの活用機会を特定すること」と「AI-Readyになること」の2つの最優先課題に注力すべきであると述べたという。

AIの活用機会を特定する

 バイス プレジデント アナリストの片山博之氏は、「現在のAIの課題の1つは、変化が非常に速く、きわめて複雑であることです」と述べている。

 AIには主に以下2種類があるという。

  • Everyday AI(エブリデイAI):「生産性」に焦点を置いており、マシンは生産性の向上をサポートするパートナーとなる。従業員が既に行っていることを、より速く、より効率的に実行する。現在、世界のCIO/テクノロジ・リーダーの77%がこのAIの活用機会に注目している(日本の割合は82%)。片山氏は、「エブリデイAIは素晴らしいものからあっという間に平凡なものへと変化していくため、持続可能な競争優位性は得られません。しかし、エブリデイAIを活用しないと、ビジネスは維持できません」と述べている
  • Game-changing AI(ゲーム・チェンジングAI):主に「創造性」に焦点を置いている。片山氏は「ゲーム・チェンジングAIは、単に作業を高速にし、改善するAIではありません。新たな成果、プロダクトとサービス、ビジネスモデル、そして新しい産業までをも作り出します。ゲーム・チェンジングAIによって、マシンはビジネスモデルや業界全体にディスラプション(破壊)をもたらすでしょう」と述べている

 エブリデイAIとゲーム・チェンジングAIの活用機会は、バックオフィス、フロントオフィス、新しいコア機能、プロダクトとサービスの4つの領域にあるという。CIOは、経営幹部のAIガイドとしてこれらの領域でジェネレーティブAIを使用する機会とリスクを検証することで、CEOや他のCレベル幹部がAIの複雑さを克服し、AIに関する目標を設定し、組織におけるAIの活用機会を特定できるよう支援できるとしている(図1参照)。

【図1】AI Opportunity Rader(AI活用機会レーダー)
【図1】AI Opportunity Rader(AI活用機会レーダー)
[画像クリックで拡大表示]

 片山氏は次のように述べている。

「AIは単なるITイニシアティブではなく、全社的イニシアティブです。AIの使い方を考えるときは、人間とマシンの関係から始めることが重要です。成功に導くには、経営幹部全員が関与する必要があります。まずは、組織としてどこでAIを活用したいか、あるいは活用したくないか、ここから議論を始めてください」

AI-Readyになる

 アロン氏は、次のように述べている。

「AIが人間とマシンの関係を変革し続けている中で、CIOはこの変化の本質を積極的に形あるものにしていかなければなりません。人間とマシンがやりとりするこの新たな時代には、多くの予期せぬ結果が待ち受けています。

テクノロジに関する意思決定は、もはやテクノロジだけの問題ではなく、テクノロジ、経済、社会、そして倫理にまで及ぶ意思決定となっています。CIOをはじめとするITリーダーは、組織内でAIに関する意思決定を舵取りする上で、『灯台となる原則』、換言すれば、道を照らし、どのような人間とマシンの関係を許容するか、許容しないかを示すAIのビジョンが必要です」

 しかし、灯台となる原則やAIの明確なビジョンを持つ組織はほぼ存在しないという。Gartnerが2023年6月に606人のCIOとテクノロジ・リーダーを対象に実施した調査によると、AIビジョン・ステートメントを策定している組織はわずか9%(日本の割合は7%であったとしている。また、世界のCIO/テクノロジ・リーダーの36%は、AIビジョン・ステートメントを策定する予定がないと回答している。

 今後1年以内にジェネレーティブAIの迅速かつ安全な導入を促進するために、組織は次の3項目に取り組む必要があるという。

  • AI-Readyの原則を策定する:灯台となる原則は、組織の価値観と一致している必要がある。組織の価値観は、人間とマシンがどのように関わり合うかという未知の問題を舵取りするための指針でなければならない
  • データをAI-Readyにする:データをAI-Readyにするには、5つの基準を満たさなければならない。つまり、灯台となる原則によって、データは「安全である」「強化されている」「公平である」「正確である」「統制されている」の5つの基準を満たしている必要がある。データがAI-Readyでなければ、組織はAI-Readyではない
  • AI-Readyのセキュリティを実装する:AIがプラスの目的で使われると同時に、別の誰かがAIを悪用しており、これがAIの影の側面である。CIOは、新たな攻撃経路に備える必要がある。そして、経営幹部チームと連携して、公開されているジェネレーティブAIソリューションについて、許容される使用方法に関するポリシーを策定する必要がある

 アロン氏は次のように述べている。

「AI活用型ビジネスの時代に、事前の計画策定を怠れば、意図せぬ結果が生じることになります。CIOには、あらゆるものが目新しく不透明に見えるときでも、前途を照らす手段が必要です。CIOがこのディスラプションを安全に活用するためには、CEOや他のCレベル幹部と連携して、エブリデイAIやゲーム・チェンジングAIを利用する目的を明確にし、AI-Readyになるための原則/データ/セキュリティを確立しなければなりません」

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BizZine編集部(ビズジンヘンシュウブ)

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