インサイト発見に重要な「エクストリーム・ユーザー」
インサイトを発見する際に有効なのは、「エクストリーム・ユーザー」の存在だ。現場で調査をする際には、エクストリーム・ユーザーを含めた3種類のユーザー像を設定するといい。
- マイナス・エクストリーム・ユーザー:ノン・カスタマー
- アベレージ・ユーザー:平均的な購買層
- ポジティブ・エクストリーム・ユーザー:想定外の方法や頻度でプロダクトを利用する
製品開発の事例を簡単に紹介したい。ある消費財メーカーが、新しい歯磨き粉を開発することとなった。調査の段階で、あるエクストリーム・ユーザーに遭遇した。
そのユーザーは「日常的に7種類の歯磨き粉を使い分けて」いた。平均的な感覚からすれば、2・3種類使い分けている人の話を聞いただけでも「この人は相当こだわりがあるな」と感じるはずだ。
アベレージ層は一概に設定はできないが、おそらく「歯磨き粉に強いこだわりはなく、何となく選んでいる」から「好きなブランドがあって、それを選んで使っている」の間が歯磨き粉ユーザーの平均値だろう。
また、エクストリーム・ユーザーは、その製品やサービスを過剰に利用している場合に限らない。過剰に「利用していないユーザー」にも着目する必要がある。歯磨き粉の場合であれば、どのようなユーザーだろうか?
通常のマーケティングにおけるノン・カスタマーであれば、「歯磨き粉を使わないユーザー」になるかもしれない。しかし、デザイン思考では、ノン・カスタマーにも「エクストリーム」な要素を求める。歯磨き粉の場合であれば、「歯を磨かないユーザー」だ。
ネガティブ/ポジティブ両端のエクストリーム・ユーザーは極端な行動をとる。その背景には「極端なニーズ」が潜んでいることが多い。
以上のように3種類のユーザー像を設定することで、前回の記事で紹介した「チームが知るべきだが、いまだわかっていないこと:未知の知識」をより効果的に獲得できる。そのなかには、インサイトも含まれている。
本稿内の出典・参考文献は以下にまとめます。
- IDEO.org『イノベーションを起こすための3ステップ・ツールキット』一般社団法人デザイン思考研究所編.
- d.school