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ポーラ・オルビスと三菱地所が語り合うCVCの“リアル”──大企業におけるCVCの役割と立ち上げ方

「CVCの成功とはなにか?」レポート前編

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 大企業を中心に立ち上げが相次いでいるCVC(Corporate Venture Capital)。その勢いは止まらずCVC・事業会社による出資は年々増加傾向にあります。スタートアップとの協業のため、売り上げのトップラインを伸ばすため、これから組成を検討している企業もあるでしょう。2024年4月17日にM&Aクラウド主催で「CVCの成功とはなにか?」をテーマとしたトークセッションが開催されました。パネリストは、ポーラ・オルビス ホールディングスの岸裕一郎氏と三菱地所の橋本雄太氏。M&Aクラウドの井上隼吾氏をモデレーターに、CVC設立の経緯から投資開始に至る数々のハードル、今後のビジョンなどについて語り合いました。

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「ブランド展開強化」「知の探索」のツールとしてのCVC

井上隼吾氏(以下、井上):まずはご自身とCVCのご紹介をお願いします。

岸裕一郎氏(以下、岸):私は2014年に新卒でポーラに入社し、最初の3年は化粧品事業の仕事をしていました。社内ベンチャー制度を活用してCVC設立を提案し、立ち上げたのが2018年。私のキャリア上も大きな転換点になりました。

 当社は現在、祖業の「ポーラ」、その後に社内から生まれた「オルビス」をはじめとする複数ブランドを展開しており、今後もブランド数を増やしていこうとしています。「感受性のスイッチを全開にする」というミッションのもと、創業100年を迎える2029年までに実現したいビジョンとして、「多様化する『美』の価値観に応える個性的な事業の集合体」を掲げています。

 CVCの運営もこのビジョン実現のための施策の1つ。既存のブランド・事業の改善につなげることに加え、新しいブランドを生み出していくことを目的としています。これまでアーリーステージを中心に、プレシードからレイターまで35社に出資してきました。投資先の中に女性起業家によるスタートアップが多いのも特徴です。

株式会社ポーラ・オルビスホールディングス 総合企画室 コーポレートベンチャーキャピタル担当 岸裕一郎氏
株式会社ポーラ・オルビスホールディングス 総合企画室 コーポレートベンチャーキャピタル担当 岸裕一郎氏

橋本雄太氏(以下、橋本):私は2021年に中途で三菱地所に入社しました。前職は鉄道会社で、当時からオープンイノベーションや新規事業企画に携わっていました。

 三菱地所がオープンイノベーションに取り組む目的は、様々な社会課題、経営課題が存在する中で自らを変革していくこと。これを社内では「ビジネストランスフォーメーション」と呼んでいます。

 「ビジネストランスフォーメーション」の取り組みは、大きく3つのカテゴリーにわけられます。1つ目は中長期的な目線で「知の探索」を行うこと。CVCの活動はここに当てはまります。今日のようなイベントを通じて様々な方と出会い、ネットワークを広げていくことも含まれます。

 2つ目は既存事業の変革。テクノロジーの活用による付加価値向上などを指します。3つ目の領域は、今の2つの間に位置するもので、いわば既存の事業領域から「染み出した」部分での事業共創。様々なスタートアップや大企業と手を携え、新しい事業を生み出していく取り組みです。以上の3つを進めていく上で、大きな柱のような役割を担っているのがCVCです。

 CVCを立ち上げたのは2022年4月。「成長産業の共創」をコンセプトに掲げ、100億円規模で運用中です。大きな特徴は、三菱地所の事業との関連性や協業の有無を問わず、VCに近い形で投資判断を行う点で、CVCの名称にも社名は入れず、「BRICKS FUND TOKYO」としました。「知の探索」を行うためには、当社が今やっていること、今できることに紐づけすぎずに世の中のトレンドを探っていくべきと考えているためです。

 投資実績はこれまでに15社ほど、2ヵ月に1社ほどのペースです。主にプレシリーズA以降を対象に、ワンショット1~3億円、追加出資も積極的に行っています。ポートフォリオの中にはSaaS企業もあれば、米国のバイオテック企業などもあり、基本的にはオールジャンルで、社会課題の解決や産業構造の変革に挑む起業家の皆さんを応援しています。

三菱地所株式会社 新事業創造部 イノベーション推進・CVCユニット 主事 橋本雄太氏
三菱地所株式会社 新事業創造部 イノベーション推進・CVCユニット 主事 橋本雄太氏

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この記事の著者

中名生 明子(ナカノミョウ アキコ)

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