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CVCを核に大企業の変革を加速させる──ポーラ・オルビスと三菱地所が語り合うCVCの“リアル”

「CVCの成功とはなにか?」レポート後編

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 2024年4月17日、M&Aと資金調達のマッチングプラットフォームを運営するM&Aクラウドの主催により、「CVCの成功とはなにか?」をテーマとしたトークセッションが開催されました。パネリストは、ポーラ・オルビスホールディングスの岸裕一郎氏と三菱地所の橋本雄太氏。共にCVCの設立から手掛け、現在も運営の中心となっている両者が、CVC運営のリアルを語り合いました。今回は、事業部との連携、CVCの成功の定義、今後投資したい領域などをテーマに取り上げた後半の模様をお届けします。

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事業部との連携の“コツ”

井上隼吾氏(以下、井上):事業部との連携に関して、体制を整えたところなどはありますか。

橋本雄太氏(以下、橋本):当社の場合、投資決定時は協業を前提にしていないので、事業部との関わりは意見を聞く程度です。一方、投資後に結果として協業を生み出せるのであれば、それはハッピーな話だと考えています。基本的に投資先各社に当社の担当者が付き、伴走しながら、必要に応じて事業部につないでいるほか、社内への情報発信も適宜行っています。投資先で今、困っていること、発生しているニーズなどを定例のミーティング等で事業部に配信したりしています。

 海外の投資先に関しては、事業面のリクエストを受けることはほぼないものの、投資先の動きをウォッチしている中で得た情報を当社の事業部にインプットすることはあります。たとえば、米国のバイオテックのトレンドなどでも、将来的には当社の本業に関わってくる部分があるためです。

井上:逆に事業部からCVCを通じて連携のオファーが寄せられるケースはありますか。

橋本:たとえば、投資先のMellow社の手掛けるキッチンカーと出店スペースのマッチングサービスなどは当社の本業である不動産業と相性がいいので、まちづくりのコンテンツとして連携の相談を受けることはあります。一方でバイオテックのような本業から遠い領域のスタートアップに対して、当社の事業部担当者が足元で協業を思い付くかというと、まずないと言っていいでしょう。そこはむしろCVCの担当者が「5年後くらいには、こんな形で連携が可能になるかもしれません」と営業活動していくべきだと考えています。

岸裕一郎氏(以下、岸):事業部との連携には、組織で改善できる部分と個別の取り組みが必要な部分があると思います。組織に関しては、当社はブランドごとに子会社に分かれているので、各社でオープンイノベーションの窓口担当者を任命してもらっています。CVCから投げたボールをいったん受け止め、社内の適切な部署にパスしてくれる役割です。

 ただ、各社の窓口担当者にも通常業務がありますから、突然ボールを投げてこられてもすぐには対応が難しいこともあります。ここは今後、もう少し個別に踏み込んだ連携の仕方を探りたいと思っているところです。

 事業側で連携のネックになるのは、主に「人的リソースがない」「予算枠が足りない」という2点。これらをCVC側で用意できれば、その後の展開がスムーズになるのではないかと仮説を持っています。実際、一度私自身がプロジェクトに入ってみたときは、やはり自身が考えたことを実行できるという意味で進み方が違いました。そうしたオペレーションをもっと整理していきたいと考えています。

橋本:当社では我々と同じチームの中に事業開発メンバーがいます。投資メンバーだけでなく、普段、自社目線の新事業創出に取り組んでいる彼らが、投資先との協業が現実化した際は推進役となり、事業部の巻き込みも担うようにしています。

三菱地所株式会社 新事業創造部 イノベーション推進・CVCユニット 主事 橋本雄太氏
三菱地所株式会社 新事業創造部 イノベーション推進・CVCユニット 主事 橋本雄太氏

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この記事の著者

中名生 明子(ナカノミョウ アキコ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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