マーサージャパンは、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」の2024年7月8日時点のデータを基に、日本の企業における男女の賃金差異について分析を行った。
男女の賃金差異(正規雇用/平均)
企業の男女の賃金差異(男性の賃金を100とした時の女性の賃金)を昨年同時期と比較すると、常時雇用労働者301人以上の全企業平均で74.9%と、昨年の74.3%から0.6%ほど差異が縮まった。
この変化は、データ公開企業が大幅に増加したこと(2023年:5520社、2024年:1万2414社)による可能性もある。
そこで、前回と今回の集計にいずれもデータの登録があった企業(4387社)に絞り、同じ母集団で改めて平均を比較したところ、正規雇用の男女賃金差異は昨年の74.07%から74.41%という結果となり、縮小幅は0.3%にとどまった。
業種別の傾向も、昨年と大きく変わらない結果であった。特徴として、保険・銀行などの金融業では差異が大きく、教育・医療業で差異が小さい傾向が見られる。
男女賃金差異解消のためのアクション検討に向けたデータ活用
厚生労働省のデータベースの規模は拡大しており、これまでより詳細なベンチマークが可能になりつつある。男女賃金差異情報の公表の次のステップとして、自社および他社のデータを見ることで、自社の現状を把握し、さらには差異の縮小に向けてどのような施策を講じていくかのヒントを得られるという。
多くの企業が男女賃金差異の主要因として挙げていた「男女の職位差」に着目し、「女性の管理職への昇進しやすさ」と「男女賃金差異」の関係を可視化することで、業種別の女性活躍推進の状況を次のように整理した。
同分析のために「女性の管理職への昇進しやすさ」を指標としてマーサーで定義。女性活躍推進データベース上で各社が公表している女性管理職比率を、正社員に占める女性の割合で除して個別企業の従業員分布差を補正したもの。女性管理職比率÷女性従業員比率=「女性の管理職への昇進しやすさ」と呼ぶ。
たとえば、女性管理職が10%ずついる2つの会社A社とB社は同じように見えるが、A社の女性従業員比率が50%であれば、女性が管理職に昇進する可能性は実際には10%÷50%=20%に過ぎない。一方、B社の女性従業員比率が10%であれば、この会社では女性社員も男性社員も管理職昇進のチャンスは平等と言える。
まず、業種別の傾向として2023年のレポートと同様、女性の管理職への昇進しやすさと男女の賃金差異には正の相関があり、女性が昇進しやすい企業ほど、賃金差異が小さい傾向にあるとわかった。
また、業種間の比較では多少のばらつきはあるものの、非製造業・サービス業は製造業に比べ、女性が管理職へ昇進しやすく男女の賃金差異が小さい傾向が見られた。
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