「修羅場」での経営人材の育成には、当事者の「ケア」もセットで
セッションの最後に、モデレータの日置氏は「修羅場」についての登壇者の意見を求めた。経営人材の育成では、ハードなコミットが求められる修羅場の経験がしばしば必要とされる。その一方で、人的資本経営の実践においては、社員の心理的安全性の確保などが強調される。この両者の関係性について日置氏は尋ねた。

「私自身は修羅場が好きではないですが、事業再生を担当していたこともあり、修羅場的な仕事に従事した経験はあります。その経験から言わせてもらえば、その仕事に臨む当事者にWillがあるかどうかが重要だと思います。何らかの目標に向けて目の前の仕事をやり抜く意思があれば、仮に修羅場的な現場にアサインされたとしても、大変な思いはするものの、大きな成長を達成して帰ってきてくれるはずです。その一方で、修羅場的な現場が得意ではないという人材も確実に存在するため、その点には見極めが必要だとも思っています」(鈴木氏)
さらに、鈴木氏は修羅場の経験には、組織や仲間からの「ケア」が不可欠だと強調した。無責任に単身で修羅場に送り込むのではなく、頻繁なコミュニケーションや組織的なフォローアップなど、当事者のケアもセットで行うのが欠かせないのだという。