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新規事業開発を成功させる人材の育て方──自己決定理論による、個人の成長加速と経験を学びに変える方法

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個人の成長をどう加速するか。経験を学びへと昇華させるサイクルとは

成長の鍵を握る内省:経験を学びへと深化させる

 一般的に、経験を通じて人が成長していくうえで、得られた経験を振り返り、深く考察する「内省」という行為が非常に重要であると言われています。私たちは、日々の業務やプロジェクトの中でさまざまな経験をしていますが、ただ経験するだけでは、そこから深い学びを得ることはできません。経験したことを改めて見つめ直し、「なぜうまくいったのか」「何が課題だったのか」「次に活かせることは何か」といった問いを自らに投げかけることで、経験は単なる出来事から、自身の成長を促す貴重な糧へと変わります。デイビッド・A・コルブが提唱した「経験学習サイクル」という理論では、この内省のプロセスが具体的経験と教訓化を結びつける、まさに成長の鍵となる部分だとされています[2]

自己決定理論
経験ん学習サイクル/クリックすると拡大します

 しかしながら、日々の業務に追われる多くの組織において、この内省の時間が十分に確保されていない現状を私たちは目の当たりにしてきました。多忙を理由に、あるいは振り返る習慣がないために貴重な学びの機会を逃し、場合によっては同じ失敗を繰り返してしまう。

 私たちは経験から学びを得て成長するためには、意識的に内省の時間を持つことが不可欠だと考えています。特に新規事業開発においては予期せぬ出来事や失敗が多く同時に多忙であるため、内省の時間を確保せず失敗を繰り返すループが起こる懸念が高く、内省をする時間を持つことの重要性がより一層高いと考えられます。特に大企業では業績評価が半年や四半期に一度というスパンで行われることが多く、日々の細かな経験を振り返る習慣が根づきにくいという構造的な課題もあると考えています。このような状況において、第三者的な立場の伴走者による支援は、客観的な視点を提供し、内省を促すうえで非常に有効だと私たちは考えています。


[2]デイヴィッド・コルブ、ケイ・ピーターソン『最強の経験学習』(辰巳出版、2020年3月)

内省で終わらせない:実践こそが成長のエンジン

 内省によって深い気づきを得たとしても、そこで思考が止まってしまっていると経験学習サイクルは回りません。内省は、あくまで学びの第一歩に過ぎません。その気づきを、具体的な言葉で整理し、教訓として抽出する「教訓化」のプロセスがあってこそ、学びは血肉となり、次の行動に活かすことができるようになります。そして、さらに重要なのは、その教訓を躊躇なく次の実践の場で試してみるということです。

 その際に私たちは、教訓化の「精度」よりも「実践」が重要と考えています。今回のJTB新井さんとのプロジェクトでは、「法人向けの卓上装花」というアイデアが市場のニーズに合わないと判断した後、失敗の教訓化に時間を多く費やすのではなく、迅速に顧客へのヒアリングを重ね、新たなビジネスモデルへと方向転換しました。この迅速な対応が、プロジェクトを成功に導く大きな要因となりました。

 内省で得られた学びをすぐに教訓として捉え、次の行動に素早く移すことで、試行錯誤の回数を増やし、より早く事業を、そして個人を成長させることが出来ると考えています。

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この記事の著者

藤原 直彦(フジワラ ナオヒコ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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