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エノテカ、カインズ、日本KFC 大手企業のDXをリードしてきた池照氏と考える内製実行力の高め方

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 多くの企業が「攻めのDX」を掲げながらも、実際の現場には「戦略と実行の乖離」「深刻な人材不足」など、様々な障壁が存在している。メンバーズが主催した「DXリーダーズ・カンファレンス2025」では、同社代表取締役社長の髙野明彦氏と、日本ケンタッキー・フライド・チキンの常務執行役員チーフデジタルテクノロジーオフィサーの池照直樹氏が登壇し、この障壁を打破するための鍵として「内製実行力」の重要性を説いた。本稿ではその内容をレポートする。

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「攻めのDX」の実態に迫った調査

 現代のビジネス環境において、DXはもはや選択肢ではなく、企業が生き残るための必須要件となっている。しかし、多くの企業が変革の必要性を認識しながらも、その実行段階で躓いている。

 単なる業務効率化やコスト削減を目指す「守りのDX」から、新規事業創出やビジネスモデル変革を目指す「攻めのDX」へとシフトしようとする動きがある一方で、その実現は容易ではない。

 今回の「DXリーダーズ・カンファレンス2025」は、まさに攻めのDXに焦点を当てたイベントだ。基調講演は、メンバーズが実施した「攻めのDX実態調査2025」の結果をガイドに進行される。この調査は、従業員1,000人以上の大企業の経営者や管理職層301名を対象に、攻めのDXへの関与度を問うたもの。その内容は日本企業の現状を映すものとなった。

なぜ今「内製実行力」が求められるのか

 メンバーズの髙野氏は、多くの顧客のDXを支援する中で、日本企業のDX推進には共通する三つの大きな課題があることに気付いた。それは「戦略と実行における経営と現場の認識ギャップ」「内製志向の高まりと深刻な人材不足」そして「内製達成度の低さと外部パートナーへの不満」である。

メンバーズ 代表取締役 兼 社長執行役員 髙野 明彦氏
メンバーズ 代表取締役 兼 社長執行役員 髙野 明彦氏
1999年一橋大学卒業後、日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)入行。新生銀行(現SBI新生銀行)を経て、2005年メンバーズ入社。2006年11月の株式公開を始めとし、リーマンショック後の全社変革プロジェクト、人事制度改革、中期経営計画の策定・実行、ミッション・ビジョンの策定・浸透プロジェクト、働き方改革、東証一部上場など全社的な重要プロジェクトの推進を数多く担う。2011年執行役員、2016年に常務執行役員、2018年に取締役就任。2023年4月より現職。

 「三つの課題はDXの成功を阻む根源的な問題であり、これらの壁を乗り越えることができなければ、真の事業変革は達成できない」と髙野氏。特に攻めのDXは、長期に亘る継続的な変革プロセスだ。システムを一度導入したら終わりではなく、市場の変化や顧客のニーズにアジャイルに対応し続ける必要がある。この性質上、外部に完全に依存する体制ではスピード感や柔軟性を欠き、成果を出すことは困難だろう。「内製実行力こそがDX成功の鍵だ」と髙野氏は強調する。

 この仮説は、カインズでDXをリードした経験を持つ池照氏の言葉によって裏付けられる。伝統的な小売企業であったカインズには、デジタル部門もIT投資もほとんど存在しなかったそうだ。

日本ケンタッキー・フライド・チキン 常務執行役員 CDTO(Chief Digital Technology Officer) 池照 直樹氏
日本ケンタッキー・フライド・チキン 常務執行役員 CDTO(Chief Digital Technology Officer) 池照 直樹氏
日本コカ・コーラ、日本オラクルを経てケイ・ピー・アイ・ファクトリーを設立。Dynamics CRMのISVベンダーとしてソリューションを提供する。その後マイクロソフトにて日本向けソフトウェアの開発に携わる。エノテカでは、執行役員として物流・IT改革を行うとともに、最新テクノロジーを利用したOne-to-Oneマーケティング等によりEC事業を立て直す。2019年、のちに設立30周年で「IT小売企業」へのビジネスモデル変革を掲げる株式会社カインズに入社。デジタル戦略本部の立ち上げと同時に本部長に就任し、経営改革プロジェクトの陣頭指揮を執る。

 そこで池照氏はデジタル戦略本部を立ち上げた。三人でスタートしたチームは数百人規模へと拡大。内製型のDXを推進した経験から、事業ドメインへの深い理解を持つ自社人材と、デジタルの専門知識を持つ人材を融合させることが、変革の成功には不可欠であることを痛感したという。

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経営と現場のギャップは「投げっぱなし文化」から生じる

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この記事の著者

渡辺 佳奈(Biz/Zine編集部)(ワタナベ カナ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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