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AIエージェント時代の事業と経営

「全社員がAIを使いこなすべき」は無理ゲー?人とAIの分業で実現する生産性革命

【後編】ゲスト:株式会社Algomatic 執行役員 ネオセールスカンパニー CEO 池田晴紀氏

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 営業AIエージェント「アポドリ」などを提供するAlgomatic(アルゴマティック)社の経営陣へのインタビュー後編。前編に登場した代表取締役CEOの大野峻典氏に続き、本記事では執行役員であり、ネオセールスカンパニーCEOの池田晴紀氏に話を聞いた。「なぜ生成AIは導入されても使われない場合があるのか」と問題提起する池田氏は、従来のユースケースとは異なるAI活用を構想している。Algomaticが見据えるAI活用の未来とは。そのなかで、私たちのビジネスや働き方はどのように変わるのか。気鋭のAIスタートアップのビジョンに迫った。

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■前編は以下から

なぜ生成AIは“導入しても使われない”のか

Biz/Zine編集部 栗原茂(以下、栗原):池田さんのAlgomaticでの取り組みをご説明いただけますか。

池田晴紀氏(以下、池田):2023年5月にAlgomaticに1人目社員として参画しました。当初提供していたのがChatGPT活用支援サービス「シゴラクAI」で、その後、2025年1月より営業AIエージェント「アポドリ」を提供しています。

 最近は、生成AIに様々な問いを投げかけて、仕事や生活の問題を解決する人も増えていますが、全体から見ればまだ一部に過ぎません。ビジネスの現場でも、エンジニアやPMなどのテクノロジーに親和性の高い人であれば、プロンプトの工夫をしながら有効に活用できるかもしれません。しかし、あらゆるビジネスパーソンが必ずしもそんな風に実行できるわけではありません。そもそも業務を遂行する能力と、情報を収集し構造化して言語化する能力は、本質的には異なるスキルだからです。

 特に営業は、顧客課題の解決が最も求められる仕事です。「シゴラクAI」のように顧客であるユーザー自身がChatGPTを操作して回答を引き出す形式では、その効果も限定的でした。AIが持つ大きなポテンシャルを引き出すためには、ユーザーが直接プロンプトを入力する前提を外した、新たなユースケースを確立する必要があると考えるようになったのです。

栗原:ではアポドリではその課題をどのように解決したのですか。

池田:アポドリは営業のあらゆる業務にAIを活用することで、営業プロセスの一部分を人間以上の精度で遂行できる仕組みを備えています。この形式であれば、ユーザーが生成AIにプロンプトを直接入力する必要がありません。アポドリは、私自身が長らく抱いていた「どうすればAIを実務のなかで真に役立てられるか」という問いに対する、1つの答えでもあるのです。

栗原:私も「生成AIを使っても、思っていたより仕事が楽にならない」という声を最近しばしば耳にするようになりました。

池田:その問題は、営業現場で以前から言われてきた「SFAを導入したが活用されない」という課題と構造が似ていると思います。実際、SFAを大規模に導入しても、データ入力が進まず、十分に活用されないケースは少なくありません。本来なら、案件情報や顧客情報をSFAに集約し活用することで、営業活動は効率化できるはずなのに、現場では上手くいかない。

 その原因は、突き詰めれば「営業パーソンにとってメリットがないから」です。確かにSFAを導入すれば組織全体としては効率化されますが、個々の営業パーソンから見れば、入力作業が増えただけで、自分自身の営業活動がそれほど楽になるわけではないのです。

 そして私は、この点に加えて、営業における生成AI活用が広がりにくい“もう1つの理由”も存在するのではないかと考えています。

栗原:それは何でしょうか。

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「人がAIを使いこなす」と「人とAIが分業する」の大きな違い

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この記事の著者

島袋 龍太(シマブクロ リュウタ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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