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「X DIVE 2025」レポート

三井住友FGのCDIOとCCCのトップが語る イノベーションが生まれ続ける組織文化の育み方

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 AIの台頭により、新たなサービスを開発する技術的なハードルが低くなった今こそ「挑戦を支える組織文化」の重要性が増している。イノベーションが生まれ続ける組織をいかに構築し、個々の挑戦を後押しする原動力をいかに生み出すのか。プレイド主催のカンファレンス「X DIVE(クロスダイブ)」では、三井住友フィナンシャルグループの磯和 啓雄氏とカルチュア・コンビニエンス・クラブの髙橋 誉則氏によって、イノベーティブな組織文化とそれを育むための具体的な行動指針が議論された。本稿ではその内容をレポートする。

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わかりやすい成功がキードライバーに

三村:本セッションでは「イノベーションが生まれ続ける組織文化」というテーマに沿ってディスカッションを行います。モデレーターを務める三村です。

U-ZERO 代表取締役CEO兼CPO 三村 真宗氏
【左】U-ZERO 代表取締役CEO兼CPO 三村 真宗氏
1993年に慶應義塾大学法学部を卒業後、SAPジャパン創業メンバーとして入社。マッキンゼーなどを経て、2011年にコンカー日本法人社長に就任し、7年連続で「働きがいのある会社」1位に導く。2023年に退任し、2024年6月にU-ZEROを創業、CEO兼CPOを務める。

三村:最初のトークテーマは「イノベーティブな組織文化のキードライバー」です。どのような要素がイノベーティブな組織文化を作るのか。まずは磯和さんからお話しください。

磯和:私は「わかりやすい小さな成功」がキードライバーになると考えています。例として、当社が法人向け総合金融サービス「Trunk」を始めたきっかけからお話ししましょう。

【中央】三井住友フィナンシャルグループ 執行役専務 グループCDIO 磯和 啓雄氏
【中央】三井住友フィナンシャルグループ 執行役専務 グループCDIO 磯和 啓雄氏
1990年入行。法人業務・法務・経営企画・人事などに従事した後、リテールマーケティング部・IT戦略室(当時)を部長として立ち上げ、デビットカードの発行やインターネットバンキングアプリのUX向上などに従事。その後、トランザクション・ビジネス本部長としてBank Pay・ことらなどオンライン決済の商品・営業企画を指揮。2022年デジタルソリューション本部長、2023年より執行役専務 グループCDIOとしてSMBCグループのデジタル推進を牽引。

磯和:これまで我々は大企業・中堅企業を意識したEB(Electronic Banking)を作り、営業担当をつけて手厚くフォローしていました。その結果、営業担当をつけていない法人の振り込み額が落ち、収益も年々下がっていたんです。そこで私は「中小企業を意識したEBを作って、機能を限定しても良いから無償で提供しよう」と決めました。すると、営業担当のついていない法人の為替収益がたった一年でプラスに転じたんです。このことをきっかけに、2019年から温めていたTrunkの企画が一気に動き出しました。

 思い返せば「Olive」の原型となるアプリを開発した10年前も「こんなものを作って儲かるのか?」と社内で大きな反発が起こりましたが、UXの改善を重ねてアプリのMAUが100万人増えた頃「住所変更機能を追加してくれ」「カードローンの申し込み機能を実装してくれ」などのリクエストが他部署から集まり、彼らが球を転がしてくれました。

三村:転がり出すためのわかりやすいきっかけを作ることが大事なんですね。

毎日更新される社長ブログの効果

三村:髙橋さんはいかがでしょうか?

髙橋:私はやはり「情報」こそイノベーティブな組織文化のキードライバーだと思います。組織内の情報をいかに早く、フラットにデリバリーできるか。この点が意識しているポイントです。

【右】カルチュア・コンビニエンス・クラブ 代表取締役社長兼CEO 髙橋 誉則氏
【右】カルチュア・コンビニエンス・クラブ 代表取締役社長兼CEO 髙橋 誉則氏
1997年にCCC入社後、FC事業本部で人事リーダー職を経て、2006年に株式会社CCCキャスティング代表取締役社長に就任。その後、CCC執行役員、株式会社TSUTAYA常務取締役、同社顧問などを歴任し、2021年、オープンデータで社会の活性化を目指す株式会社Catalyst・Data・Partnersの代表取締役社長に就任。データを活用して出版業界を活性化する事業を手掛ける。2022年CCC代表取締役副社長 兼 COO、2023年CCC代表取締役社長 兼 COO就任。

髙橋:私は毎日ブログを書いて、社内のメンバーが閲覧できるようにしています。情報を可能な限りリアルタイムかつフラットに渡すことで、磯和さんがおっしゃったような転がり出すきっかけが作れるからです。

三村:さらっとおっしゃいましたが、毎日ブログを書くのは相当大変なことですよね。御社では90日ごとにオールハンズミーティングを実施されているそうですが、情報発信・共有の効果をどのような点に感じていますか?

髙橋:オールハンズミーティングを実施した後に、参加したメンバーから任意で感想文を募っているのですが、ブログを毎日書く前は客観的だった感想文のトーンが、最近は一人称を強く感じる感想文に変わりました。

三村:「社長が情報を開示しているから、自分も経営陣に本音を伝えよう」という意識が働くのかもしれませんね。このお二人とイノベーションを語る上で、新Vポイントの話題は避けて通れません。リリースまでわずか一年半というスピード感もイノベーティブですが、そもそもどのような経緯で統合の話が生まれたのでしょうか?

髙橋:CCCとSMBCの体制変更にともない、両社の経営陣が集うミートアップが最初のきっかけでした。面会を2、3回重ねたのち、実現に向けて動き出した流れです。

三村:驚くべきスピード感ですね。

次のページ
新Vポイント誕生の裏側にあった両社のジレンマ

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この記事の著者

渡辺 佳奈(Biz/Zine編集部)(ワタナベ カナ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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