SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

Biz/Zineプレス

AIエージェントが経営の意思決定まで担う──アクセンチュアが描く「AIによる全社変革」の未来図

  • Facebook
  • X
  • Pocket

 アクセンチュア株式会社は2025年9月9日、「AIによる全社変革の最新動向とアクセンチュア提供サービスに関する記者勉強会」を開催した。同社が推進するのは、生成AIをはじめとする先端技術を駆使し、企業の全社変革を支援する戦略だ。会見では、現場のオペレーション効率化から経営層の戦略的意思決定、さらには市場や顧客そのものをデジタル空間で再現する構想まで、AIエージェントが企業活動のあらゆる領域で人間と協働する「デジタルツインエンタープライズ」の姿を、同社 執行役員 ビジネス コンサルティング本部 データ&AIグループ日本統括 AIセンター長/アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京統括の保科学世氏が語った。

  • Facebook
  • X
  • Pocket

全社変革の鍵を握る「デジタルツインエンタープライズ」とは

 アクセンチュアが提唱するAIによる全社変革のビジョンは、「デジタルツインエンタープライズの実現」というコンセプトに集約される。これは、企業活動を「AIエージェントを活用した社内オペレーション実行」「AIとの対話を通じた事業経営・意思決定」「市場・顧客のデジタルツイン化」という3つの領域に分け、それぞれをAIによって高度化し、連携させる構想である。現場の定型業務から経営層の戦略策定に至るまで、あらゆる活動がAIとの協働にシフトし、さらにはAIで再現された仮想市場や仮想顧客と対話しながらビジネスを進める。

クリックすると拡大します

 1つ目の「社内オペレーション実行」では、既にAIエージェントが大きな成果を上げている。アクセンチュア自身、世界中で請け負うBPO業務の多くをAIエージェントに置き換える取り組みを推進中だ。たとえば、請求支払プロセスでは22種類の専門エージェント群が連携することで、人間が担っていた業務の約7割に相当する生産性向上を実現しているという。単一のタスクを自動化するだけでなく、複数のエージェントが連携して複雑な業務プロセス全体を担う時代が到来しているのだ。

AI-CxOたちとの対話で意思決定を加速させる

 会見で特に重点が置かれたのが、2つ目の「AIとの対話を通じた事業経営・意思決定」だ。それを具現化する拠点として、アクセンチュアは2024年11月に「アクセンチュア・アドバンストAIセンター京都」を開設。保科氏は、この施設を「経営者がAIと対話し、AIを使いながら経営の意思決定や戦略策定をシミュレーションしていただく施設」と位置づける。ここでは、企業のCxOのデジタルツインである「AI-CxO」を生成し、経営者がAIと直接ディスカッションを行うといった先進的な取り組みが行われている。

クリックすると拡大します

 保科氏は、ある企業の役員が参加した際の興味深いエピソードを披露した。まず人間だけで経営課題について議論して結論を出してもらった後、同じテーマでAI-CxOたちと議論させたところ、細かな違いはあれど、ほぼ同じ結論に至ったという。これを見た社長は「これからはAIと先にディスカッションした方が効率的だ」と述べたそうだ。

クリックすると拡大します

 また、このAI-CxOはあえて忖度をしないように設計されており、経営者に対して耳の痛い指摘も行う。保科氏は、「人間の役員に言われると腹が立つが、AIに言われると感情抜きで聞けるため、受け入れやすい」という経営者の声を紹介し、AIが客観的な壁打ち相手として機能するという価値を示した。

 この京都の拠点は、経営者向けとしては世界初の施設であり、日本企業のトップダウンでの変革を促したいという保科氏の想いが設立の背景にある。「現場で個別のAIプロジェクトが1,000個立ち上がってもバラバラでは意味がない。経営者がAIを体感し、会社全体の変革の姿を描くことが必要だ」と、その狙いを語った。

アクセンチュア株式会社 執行役員 ビジネス コンサルティング本部 データ&AIグループ日本統括 AIセンター長/アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京統括 保科学世氏
アクセンチュア株式会社 執行役員 ビジネス コンサルティング本部 データ&AIグループ日本統括 AIセンター長/アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京統括 保科学世氏

次のページ
データとAIが導く具体的な経営判断。3社の先進事例

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
Biz/Zineプレス連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

梶川 元貴(Biz/Zine編集部)(カジカワ ゲンキ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • Facebook
  • X
  • Pocket

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング