カルビー「絶品かっぱえびせん」のファンコミュニティ
ここからは、同社のプロダクトを活用して顧客からの信頼を得ている企業として、カルビーの冨本奈津美氏が登壇。杉山氏との対談を行う。

冨本氏は「絶品かっぱえびせん」のファンコミュニティを運営する立場だ。このコミュニティには「晩酌のお供」として商品を愛用する顧客が多く集まり、日々の晩酌の様子を投稿したり、共創企画に参加したりしている。

冨本氏は「ファンの皆様は『好き』という熱い思いだけでなく『伝えたい』という意思も持っている」と述べ、店舗で新商品を発見したファンがSNSで報告する様子など、自発的な広報活動を明かす。共創企画では既に3種類の商品を顧客とともに開発しているそうだ。
展望を聞かれ「引き続きお客様との対話を続けていきたい」と語る冨本氏。商品の企画だけでなく宣伝活動にもファンを巻き込むなど、ファンの思いを形にする取り組みを模索する考えだ。
毎日の投稿数は300件超!青森県のコミュニティ
コミューンのプロダクトを導入しているのは民間企業だけではない。続いて登壇する加藤氏春花氏は、青森県の観光交流推進部で県公式のファンコミュニティサイト「青森びいき」を運営するにあたり、同社のプロダクトを活用している。

青森びいきには現在1万1,500人を超えるユーザーがおり、毎日の投稿数は300件を超える。ユーザーの7割が県外在住者だと言うから驚きだ。コミュニティで上がった声をもとに、青森県では巨大ねぶた「立佞武多」をテーマにしたホテルルームや、温泉好きのニーズを捉えた温泉タクシープランを造成するなど、観光商品の共創を行っている。

加藤氏は、青森県のような地方自治体が共通して抱えている課題として、若者の人口流出や高齢化による人口減少を列挙。「地域に愛着を持つ人を増やすことが重要」と語る。
「熱量の高いコミュニティを通じて青森の情報を発信し、価値や魅力を高めることで青森が好きな人を増やし、交流人口の拡大や所得向上につなげていきたいです」(加藤氏)
調達した55億円も信頼起点経営の実現に投資
先日、総額55億円の資金調達を発表したコミューン。既存株主4社に加え、新規株主として野村スパークス・インベストメント、JPインベストメント、日本郵政キャピタルからの第三者割当増資40億円と、各金融機関からのベンチャーデット15億円からなる。この資金は、信頼起点経営の実現と普及のために活用されるとのことだ。
杉山氏は信頼関係を「企業と顧客、企業と従業員の間で構築され、自然な形で広がっていくもの」と表現。信頼起点経営が経済合理性を持ち、社会に実装されることを目指すと語り、説明会を締めくくった。