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なぜリクルートはプロダクトの顧客体験が分断化しないのか──DXのゾンビ化を乗り越える組織体制

【前編】ゲスト:株式会社リクルート プロダクトデザイン室 室長 戸田洋平氏

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 本連載では株式会社ビービットCCOの藤井保文氏を連載ナビゲーターに、各業界の実践者や有識者との対談を通じて「アフターデジタル最新潮流」を探求する。本記事では、株式会社リクルートのプロダクトデザイン室室長の戸田洋平氏をゲストに招き、「DXブーム以降の組織のあり方」について議論が交わされた。データ基盤やDX組織が整備されたにも関わらず、DXの目的が不明確で顧客体験が分断されてしまう「DXのゾンビ化」に警鐘を鳴らす藤井氏が、200以上のサービスで卓越した顧客体験を提供するリクルートの組織の強みに迫った。

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事業と専門性が交差するリクルートのマトリクス型組織

藤井保文氏(以下、敬称略):本連載では、DXブーム以降にあるべきデジタル戦略や組織の形を考察したいのですが、リクルートは最初のゲストにふさわしい企業だと思います。多くの大企業が次の時代に向けた体制を模索するなかで、リクルートはいち早く組織や職能を横断するマトリクス型組織を構築し、その利点を活かして次々とプロダクトを生み出しています。本日は、なぜリクルートではそうした動きが可能なのかを掘り下げてお伺いしたいです。

 まずは、戸田さんのご経歴と現在の役職からお聞かせいただけますか。

戸田洋平氏(以下、敬称略):私は大学院卒業後にマーケティング会社を経て、2007年にリクルートに入社しました。入社後はUXディレクターとして事業横断型で複数のプロダクトのUXデザインに携わり、その後には飲食事業のプロダクト企画開発や新規事業開発など事業部の活動にも参画しています。2014年にリクルートライフスタイル(2021年にリクルートへ統合)の執行役員に就任して以降は主にマネジメントを担当し、現在はプロダクトデザイン室の室長を務めています。

藤井:プロダクトデザイン室のミッションや組織概要についても教えてください。

戸田:リクルートは約200種類のサービスを展開しているのですが、それぞれのプロダクトにプロダクトマネージャーが配置されています。そのプロダクトマネージャーを横串で統括する組織がプロダクトデザイン室です。先ほど藤井さんが指摘されていましたが、リクルートはマトリクス型組織を採用しているので、社内のプロダクトマネージャーはプロダクトデザイン室に所属しつつ、各領域のサービスを専任で担当しています。

画像を説明するテキストなくても可
資料提供:株式会社リクルート/クリックすると拡大します

藤井:プロダクトデザイン室以外にも各プロダクトを横断する組織はありますか。

戸田:はい。プロダクト横断の組織は社内に5つ設置されています。プロダクトデザイン室以外では、プロダクトマネジメント室、プロダクトディベロップメント室、マーケティング室、データ推進室の5つです。それぞれの組織のメンバーが専門家として各プロダクトを担当します。

藤井:それぞれどのような役割なのでしょう。

戸田:プロダクトマネジメント室が主に事業戦略の策定を担当し、その戦略をもとにプロダクトのKPIや機能を定義するのが、私が室長を務めるプロダクトデザイン室です。

 その後、定義されたプロダクトの機能を開発するエンジニア集団がプロダクトディベロップメント室で、開発されたプロダクトのマーケティングを担うのがマーケティング室。そして、各プロダクトのデータが生み出す価値を最大化できるようにデータ基盤の整備やデータを駆使した機能開発を行うのがデータ推進室です。

画像を説明するテキストなくても可
株式会社リクルート プロダクトデザイン室 室長 戸田洋平氏

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この記事の著者

島袋 龍太(シマブクロ リュウタ)

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