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CVCの常識、非常識

欧米企業の先端CVCに学ぶ、日本の常識・非常識──スタートアップ連携や事業創出での3つの観点とは?

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グローバルCVCの観点2:投資後の投資先支援・バリューアップ、連携の考え方

 2つ目の観点は「投資後の支援・バリューアップ」だ。日本のCVCはマイノリティ出資ゆえに関与が限定的になりがちだが、欧米の先端CVCは財務リターン最大化のため積極的に支援を行う。A社や欧州コングロマリッドC社のように、メンバーに多くの外部VC出身者を登用して目利き力を担保しつつ、社内出身者が親会社のリソースやキーマンとスタートアップをつなぐ「触媒(Catalyst)」として機能している。

 また、日本企業では事業部側の理解不足により連携が進まないケースもあるが、欧米企業の先端CVCでは経営陣・リーダー層が積極的に関与する。投資前に連携のコミットメントを引き出し、投資後もトップダウンで意思決定する仕組みが存在する。組織内でも「投資チーム」と「投資先支援チーム」が連携し、グローバル拠点を活かした市場開拓やガバナンス強化など組織的な支援を実施する。

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図:【観点2:(投資後)投資先支援・バリューアップ、既存事業連携】欧米のCVCと日本のCVCの比較(Third Ecosystemによる分析)/クリックすると拡大します

自社顧客やエコシステムなどのネットワーク提供

 C社のCVCには「Catalyst(触媒)」と呼ばれる独自のプログラムがあり、親会社の顧客ネットワークやエコシステムをスタートアップに紹介することで売上拡大を支援している。紹介したリード数や受注額をモニタリングし、定期的にレビューを行うなど定量的なプロセスが整備されており、ビジネス創出を通じて事業価値を高めEXITに繋げている。

欧州コングロマリッドC社CVCによるカタリストプログラム
図:欧州コングロマリッドC社CVCによるカタリストプログラム(Third Ecosystemによる分析)/クリックすると拡大します

投資前段階からトップ層のコミットメントを引き出す

 C社では、投資前に「スタートアップが自社ビジネスにどう貢献できるか」を分析し、各事業部の協力意欲を確認するプロセスがある。どの組織がどのような連携を行うかのコミットメントを明文化しておくことで、投資後の連携を円滑に進める仕組みだ。

欧州コングロマリッドC社CVCによる投資前の既存事業による連携協力意思・コミットメントの明文化
図:欧州コングロマリッドC社CVCによる投資前の既存事業による連携協力意思・コミットメントの明文化(Third Ecosystemによる分析)/クリックすると拡大します

 投資後も、CVC担当者は各地域のリーダー層全員に対し、投資先の進捗やシナジー案を定期的に共有し全方位的な機会創出を図っている。現場担当者レベルでは「自社で実施済み」と判断されがちな案件も、経営レベルで議論することで、外部技術を活用してリソースを再配分するなど抜本的な意思決定を可能にしている。

投資後の経営トップ層との定期的なコミュニケーションによる投資先との連携案件の創出
図:欧州コングロマリッドC社CVCによる投資後の経営トップ層との定期的なコミュニケーションによる投資先との連携案件の創出(Third Ecosystemによる分析)/クリックすると拡大します

グローバル拠点を活かしたGo-to-Market支援とガバナンス強化

 B社CVCは、自社のグローバルな拠点や販売網を活かし、スタートアップの未開拓地域への進出(Go-to-Market)を積極的に支援する。また、取締役会への参画を通じて、将来の他社売却も見越したガバナンス体制を構築し、「大企業の目」から価値向上を支援する。技術面への関与は限定し、スタートアップの専門性を尊重しつつ競争力を発揮しやすい環境整備に注力している。

投資先スタートアップのGo-to-Market支援
図:B社CVCによる投資先スタートアップのGo-to-Market支援(Third Ecosystemによる分析)/クリックすると拡大します

次のページ
グローバルCVCの観点3:スタートアップのEXIT支援の考え方

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この記事の著者

小宮 昌人(コミヤ マサヒト)

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